2022 Fiscal Year Research-status Report
Development and Application of Reversible Construction Strategy for Organic Molecular Assembly Using Carbon Dioxide
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22K05228
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
古荘 義雄 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00281270)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 塩橋 / アミジン / カルバミン酸 / アミン |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はCO2ガスの添加・除去による塩橋形成のon/offの基礎を確立するために諸検討を行い、以下の結果を得た。 N,N'-ジシクロヘキシルベンズアミジンとベンジルアミンの1:1のDMF-d7溶液に室温で1時間、CO2ガスをバブリングしたところ、ほぼ定量的にベンジルアミンがCO2と反応してカルバミン酸となり、アミジンと塩橋を形成していることが1H NMRにより確かめられた。この溶液をN2ガス雰囲気下、100℃で加熱するとカルバミン酸がCO2ガスを放出してアミンに戻り、1時間程度でほぼ完全に元のアミジンとアミンの等モル溶液となった。一方、ジエチルアミンのような第二級アミンを用いると、同様の条件下では塩橋の形成率が最大で50%程度にしかならなかった。これは、カルバミン酸の生成速度が遅く、CO2ガスが溶媒中の微量の水分と反応して炭酸となったか、あるいはカルバミン酸が加水分解してしまい、アミジンの炭酸塩が生成したためと考えられる。同様にアミンの代わりにアルコールを用いた場合もアミジンの炭酸塩がある程度生成し、定量的に塩橋を形成させることができなかった。現在、定量的に塩橋を形成させるための条件検討を行なっている。 また、予備的な段階ではあるが、ポリマーを用いた検討も行なった。たとえば、側鎖にアミジン基をもつポリマーとアミノ基をもつポリマーのDMF溶液に室温でCO2ガスを吹き込むと溶液がゲル化した。その後、N2ガス雰囲気下、100℃で加熱すると元の透明な溶液に戻った。このゲル化は、IRスペクトルにより塩橋に基づく架橋の形成に由来するものであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基質の構造はかぎられるものの、定量的にアミジン・CO2・アミン塩橋のon/offを制御することに成功している。また高分子系に応用できることも確かめることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、アミジン・CO2・アミン塩橋の定量的なon/offのために必要な条件を検討し、これらの塩橋を組み込んだ有機分子集合体の構築に取り組んでいく予定である。
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