2022 Fiscal Year Research-status Report
空孔制御された異種高分子系ナノシートの積層膜の構築
Project/Area Number |
22K05229
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
上村 忍 香川大学, 創造工学部, 教授 (60423498)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多孔性高分子ナノシート / 分離膜 / 共有結合性有機構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,機能性分離膜を共有結合性有機構造体(COF)と多孔性ナノシートとのハイブリッド薄膜にて構築することを目指す.当該年度においては,目標とするCOFの構築条件の精査及び典型的なナノシートである酸化グラフェン(GO)及び窒化炭素(GCN)とのハイブリッド構築条件の精査の2点を実施した. COFは,ヘプタジン骨格を有するアミン化合物(メレム及びその誘導体)と芳香族アルデヒド(テレフタルアルデヒドなど)で合成を試みた.その結果,メレムは比較的溶解性の高い溶媒を利用しても,ほとんど反応が進まず,その誘導体であるトリヒドラジノヘプタジンを用いた反応においては,収率25~40%程度で生成物を回収可能であった.トリヒドラジノヘプタジンで得られた生成物はオリゴマーと推測され,XRDやBET法での比表面積・空孔径評価では,結晶性が低く多様な構造であることが確認され,期待された空孔が現時点では十分構築されていないと推測された.現在,多孔性構造構築を目指した条件精査を行っている. またナノシートとのハイブリッド化においては,前述したナノシート混合状態で比較的反応性の高い分子を用いたCOF合成を行った.得られた生成物は粉体であり,ナノシートとCOFが混合している状態であると推測された.特にSEM観察では生成物はナノシート単体とは異なる凝集体であり,溶液中での合成から3次元的なCOFの成長によりナノシート全体を覆うような構造体が構築されたと推測された.このためナノシート分散状態を維持した環境下での合成や界面重合などでの検討が必要であると推測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては,報告例の少ないヘプタジン誘導体を用いたCOFの生成が確認でき,均一性の低い構造であることが問題であった.今回選択したビルディングブロック分子が3官能基(ヘプタジン誘導体)と2官能基(テレフタルアルデヒド)であり,想定される空孔サイズが非常に大きいため,熱力学的に多様な構造を作ることが原因であると推測される.しかし,ヘプタジン誘導体での反応が可能であることを見出したことから,適切な空孔を構築可能な3官能基+3官能基でのCOF生成反応を行えば,同じような条件で達成可能であることが示唆される.このことから,ほぼ予定通りの進捗であるといえる. また,ハイブリッド化においては,前述したように凝集体である点,現時点で溶液中での合成であるため,全体的な収量が少ないことが分析などの評価において問題となっている.しかしながら,ナノシート全体を覆うような凝集体を確認したことから,ハイブリッド化の可能性を見出したといえ,ほぼ予定通りといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
ヘプタジン含有COFの合成においては,3官能性分子同士での反応や,より小さい空孔を構築するトリアジン骨格(メラミンなど)での合成,ゲスト分子の導入などを試み,熱力学的に安定な構造を構築することを目指す. また,ハイブリッド化においては,各種界面反応を利用し,より薄膜として得られやすい反応条件を検討していく.
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Causes of Carryover |
23年度においては国際学会での発表を予定しており,出張費が多くなることが予想されたこと,また比較的順調に進行したことから繰越した.
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