2023 Fiscal Year Research-status Report
側鎖型液晶性高分子の分子構造と液晶相秩序構造の不整合が相転移挙動に及ぼす効果
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22K05242
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
竹下 宏樹 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (80313568)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高分子液晶 / 側鎖型高分子液晶 / 高次構造 / 小角X線散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から引き続き、シアノビフェニル(CB)型のメソゲン基がメチレンスペーサーを介してエステル結合によりアクリル酸に結合したモノマーを合成し、アクリル酸t-ブチルとの共重合することにより、100〜60mol%の液晶性モノマー分率を有する側鎖型液晶性高分子を合成した。当該年度からはスペーサーの長さとして炭素数11個に加えて9個のものも合成した。これは、メソゲン基と主鎖のカップリング強度の大小を意識したものである。 前年度と同様にDSCおよび顕微鏡観察および小角X線散乱法(SAXS)により相構造の決定と相図作成を行ったと。液晶相構造はいずれもスメクチック(Sm)型であった。また、液晶-等方相転移温度(Tiso)は側鎖型液晶性ホモポリマーに少量の非晶性モノマーを共重合したほうがむしろ向上することが明らかとなった。さらに、SAXSにより測定された液晶相の秩序度も非晶性モノマーの共重合により向上した。非晶性成分の導入により秩序度が上がるという結果は一見奇妙であるが、液晶メソゲン基間距離と主鎖上のグラフト間距離との不整合解消で説明可能であると考えている。 今後、側鎖グラフト間距離と液晶メソゲン基間距離を定量的に評価し、液晶相秩序を向上させる最適な共重合組成を求めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体の進捗において最も懸念されていたのは試料合成における困難さであるが、現在までのところ順調に実行出来ている。 測定や解析においても、大きな問題は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
特定のメソゲン基とスペーサー長において、当初想定していた仮説を支持する結果が得られている。今後はそれをより定量的に証明するために、より詳細な検討を行うとともに、メソゲン基とスペーサー長を変えた系での検討を行う。メソゲン基の変更には合成上の困難が存在する可能性があるため、まずはスペーサー長を変更する。メソゲン基変更は本課題における目標外となる可能性もある。
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Causes of Carryover |
前年度若干の未使用額が生じたが、試料合成の進捗等による誤差範囲である。次年度の試料合成および装置(放射光)利用料として使用する予定である。
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