2022 Fiscal Year Research-status Report
アゾベンゼン系分子ガラスのキラル光メカニカル挙動に与える環境場の影響
Project/Area Number |
22K05248
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
中野 英之 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00222167)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光メカニカル挙動 / フォトクロミックアモルファス分子材料 / ハイドロゲル / アゾベンゼン / アガロース / キラリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、寒天ハイドロゲル中に固定したアゾベンゼン系分子ガラスの微粒子に偏光を照射すると、偏光と平行な方向に引き伸ばされた構造に変形すること、伸長方向と垂直な方向へ波打つようにうねりながら伸長していくこと、粒子が十分伸びきった後も光を照射し続けている限りうねり運動が持続されること(持続的光うねり運動)、光伸長させた粒子の先端部分にらせん構造が形成されること、このらせんの巻方向が一方に偏ること(左巻らせん構造が優先的に生成するキラルらせん構造形成)、を明らかにしている。本研究では、光メカニカル挙動に与える周囲の環境場の影響を明らかにして、上述のキラル光メカニカル挙動の発現機構を解明することを目的として検討を進める。2022度は、異なるグレードの寒天(アガロース)のハイドロゲル中におけるアゾベンゼン系分子ガラスの光メカニカル挙動を検討して、キラル構造誘起に与えるアガロース純度の影響を明らかにした。アガロース純度が低く、アガロペクチンの割合が多いほど、おおきなキラル構造誘起が可能であることが明らかとなった。これは、純度が異なることでハイドロゲルの機械的特性(左右回転の粘弾性の差異)が変化したことが影響していると考えられる。さらに、寒天(アガロース)ゲルとは異なるキラルな高分子材料であるヒドロキシプロピルセルロースのハイドロゲル中で検討を行い、寒天ゲル中と同様のキラル光メカニカル挙動を示すことを明らかにした。以上の結果により、周囲のゲルのキラリティがキラル構造の誘起に重要な役割を果たしていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
純度の異なるアガロース(寒天)ゲル、ならびにヒドロキシプロピルセルロースのハイドロゲル中でアゾベンゼン系フォトクロミックガラスが示す光メカニカル挙動を検討し、キラル光メカニカル挙動発現の要因が、周囲のゲルのキラリティの影響であることの一般的を示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
キラル光メカニカル挙動におけるらせん構造形成の巻方向が、周囲のゲルのキラリティを反転させることによって逆転することを示す必要がある。天然のゲルではこのような検討は困難なため、人工的に両キラリティを有するハイドロゲルを開発し、そのゲル中におけるフォトクロミック分子ガラスの光メカニカル挙動を明らかにする。
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Research Products
(6 results)