2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on crystal film growth process of luminescent coordination compound onto hybrid interface
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22K05280
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡瀬 星児 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究部長 (60416336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 優志 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (70783322)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 結晶膜 / 結晶成長制御 / ユーロピウム錯体 / シルセスキオキサン / ルミネセンス / 配向制御 / ハイブリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、金属錯体の優れた機能を材料として活用するために、金属錯体結晶膜形成プロセスを開発することを目指している。金属錯体は結晶状態での優れた機能が多数見出されており、半導体材料、発光材料、センシング材料などへの応用によるデバイスの高性能化や高度化が期待されている。しかし、結晶膜を形成できる金属錯体は真空蒸着法などが適用できる一部のものに限られており、高分子に分散してキャストする方法などでは結晶性を失うことで結晶状態に特有の機能が損なわれるため、その優れた機能を十分に活用できていないものが多い。そこで、申請者がこれまでに取り組んできたハイブリッド化技術にヒントを得て、これを結晶成長の起点となる核生成に応用した、湿式法による金属錯体結晶膜形成プロセスの開発を目指す。 令和4年度は、結晶化に用いるd軌道錯体の合成と物性評価を行うとともに、f軌道錯体である混合配位子型ユーロピウム錯体の結晶膜形成について検討した。洗浄したガラス基板上に、ユーロピウム錯体を結晶化の起点となる結晶核を形成する目的で、ユーロピウム錯体に対して配位能を有するホスフィンオキシドを導入したシルセスキオキサン薄膜を形成した。このガラス基板をユーロピウム錯体溶液に浸漬して取り出すと、外観は無色透明であったが紫外光照射で赤く発光し、分光測定によりユーロピウム錯体由来の発光と確認された。一方、コーティングをしていないガラス基板では赤色発光はなかった。赤色発光する膜のX線回折を測定すると回折ピークが得られ、基板鉛直方向に配向した膜を形成していることが分かった。このことから、コーティング膜のホスフィンオキシドにユーロピウム錯体が配位結合で固定化され、これを起点としてユーロピウム錯体が結晶成長し、錯体結晶膜がえられたものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度で、本課題の最大の目標である、金属錯体結晶膜を形成する方法を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶膜形成プロセスにおいて成長を制御する因子を洗い出し、より精密な結晶制御ができる方法へと導く。また、結晶膜の発光特性など物性への影響などについて検討する。
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Causes of Carryover |
計画に対して僅かな余剰金が出たが、次年度の研究にかかる消耗品費、論文投稿費用などとして使用する。
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