2023 Fiscal Year Research-status Report
マイクロバッテリーセルの開発と反応分布の対極への影響の評価
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22K05292
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
片山 真祥 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (90469198)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 反応分布の対極への伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
電極の反応分布解析に先立ち、SPring-8 BL01B1において二次元XAFS測定システムの構築を行った。二次元検出器は既存のX線用カメラを使用し、Quick XAFS計測システムと連動させることで、連続的な透過X線像が取得可能なQuick 2D-XAFSシステムを立ち上げた。金属箔を用いた評価測定において、スキャン時間12秒で6μm×6μmの空間分解能で化学状態を識別可能なデータの取得に成功した。また、Fe K吸収端付近のエネルギーでは4mm×7mmのビームサイズのX線が利用可能であり、このビーム内でのエネルギー分布は補正が可能であることを確認した。立ち上げた測定システムおよび作製したマイクロバッテリーセルを用いて、リチウムイオン電池の電極反応分布解析を実施した。試験セルはLiFePO4電極とLiCoO2電極、グラファイト電極の三つの電極から構成され、Fe K吸収端とCo K吸収端の二次元XAFS測定を行うことで、LiFePO4電極-LiCoO2電極間の反応分布の伝播の様子が同時追跡可能な仕様とした。先に行った充電で不均一な分布を持ったLiFePO4電極とLiCoO2電極間での充放電過程をQuick 2D-XAFSにより追跡した結果、LiFePO4電極に発生した不均一な電極反応分布がLiCoO2電極上での反応に空間的に影響を及ぼすことが明らかになった。すなわち、電極反応分布は向かい合って配置された対極へ影響する。一方で、それぞれの電極で観測された反応分布には化学状態の傾斜や広がりなどに違いが見られるため、反応分布の伝播機構を解明するために、複数の条件での結果を比較し分布を詳細に解析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた測定系の立ち上げおよびそれを用いた実験・解析が順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果をまとめて成果を発信するとともに、条件を変更した実験を実施し、現象の理解を深める。
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Causes of Carryover |
見積りの誤差により次年度使用額が発生した。研究の進捗に合わせて物品費として適切に使用する。
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