2023 Fiscal Year Research-status Report
二次電池の電極/電解液界面におけるイオン輸送現象の解析
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22K05306
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 悟史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (40725420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉井 一記 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80735960)
福間 早紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (50964128)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電極/電解液界面 / SEI膜 / インピーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、SEI膜形成電位よりも高い反応電位を有するLi4Ti5O12(LTO)を用い、SEI膜を持たないLTO電極とSEI膜を持つLTO電極を作り分けて交流インピーダンス測定を行うことにより、二次電池の電極/電解液界面におけるイオン輸送のサイエンスを解き明かすことである。 2023年度は2022年度に開発した非破壊対象セルを用いて測定した、SEIを持つまたは持たないLTO電極の単極のインピーダンススペクトルをシミュレーションおよびフィッティングにより解析を行った。ナイキストプロットに表れるLTOの電荷移動抵抗とSEI膜に由来する抵抗を含む円弧の特性周波数が2桁異なっているため、それぞれを完全に分離することが可能であり、各抵抗の逆数のアウレニウスプロットから活性化エネルギーを算出することができた。SEI膜を有するLTO電極の電荷移動抵抗値は、SEI膜がない場合と比較してそれほど変化しない一方で、その活性化エネルギーはSEI膜を持つLTOのほうが大幅に低くなり、SEI 膜形成により電荷移動メカニズムが変化していることが明らかとなった。SEI膜抵抗から算出される活性化エネルギーは49 kJ/molであり、HOPGやグラファイト粒子でよく報告される溶媒和リチウムイオンの脱溶媒和プロセスの活性化エネルギー (50 ~ 60 kJ/mol) に近く、SEI膜の形成により、脱溶媒和が起こる場所がLTO粒子表面から、SEI膜表面に移ったと考えられる。これらの成果を論文にまとめ、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度で電荷移動抵抗とSEI膜の抵抗を分離して電荷移動過程の解析を行うところまで進める計画であったため、おおむね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度でSEI膜形成が電荷移動過程にあたえる影響を交流インピーダンス法で解析する方法を確立できたため、2024年度はSEI膜形成剤となる添加剤を含む電解液を用い、XPS測定と上記のインピーダンス法を用い、SEI膜の化学組成とその役割の関連を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
2023年度に購入予定であったFRA付PGSボードを所属機関の研究予算で入手できたため。生じた次年度使用額については、温度コントロール下での電気化学特性を評価するために、FRA付PGSボードと同程度の価格の温度制御装置(低温インキュベーター)の導入に使用する。
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