2022 Fiscal Year Research-status Report
新たな分子設計概念に基づく対称性含窒素複素環化合物のバイオ生産システム
Project/Area Number |
22K05309
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝尾 俊介 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10767122)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ピラジン / 含窒素複素環化合物 / ケモエンザイマティック合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は様々なアルデヒド基質から多様な対称性含窒素複素環化合物をバイオ生産するシステムを構築するものである。これまでに、トランスアルドラーゼおよびデヒドロゲナーゼを用いた新たなピラジン生産経路を設計し、複数のピラジン化合物を微生物生産することに成功している。本年度は、基盤化合物である2’-5’-ジフェニルピラジンの生産経路の生産効率のさらなる向上を目指し種々の検討を行った。まず初めに、トランスアルドラーゼおよびデヒドロゲナーゼの精製酵素を用いたin vitro生産系の構築を行った。菌体反応時に比べると生産効率が低下したものの、in vitro生産系でも2’-5’-ジフェニルピラジンを生産することが可能であった。反応産物の解析から、トランスアルドラーゼによるベンズアルデヒドとグリシンのアルドール付加反応により生じるフェニルセリンが蓄積しており、その量は最終産物の2’-5’-ジフェニルピラジンの10倍以上であることが明らかとなった。デヒドロゲナーゼによるフェニルセリンの脱水素過程が本生産系の律速となっていることが示された。In vitro生産系を用いることで多段階の生産経路における律速段階を明確化することができた。これを受け、律速段階であるデヒドロゲナーゼの新規酵素の探索を行った。分子系統解析、3次元構造予測モデルなどを基に、新規酵素を3種選抜し、組換え大腸菌を用いてこれらの組換え酵素を取得した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果により、次年度取り組む必要のある課題を明らかとすることができた。また、それらを実施するための解析基盤を構築することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に明らかとなった律速過程のデヒドロゲナーゼの選抜と改変を進める。2'-5'-ジフェニルピラジンの生産効率を向上させた後、他のピラジン化合物の生産に取り組む。この際、デヒドロゲナーゼの基質特異性が課題となると予想される。2'-5'-ジフェニルピラジンの生産で取得した種々のデヒドロゲナーゼの基質特異性に関する検討を行うことで、この課題をクリアする。
|
Causes of Carryover |
当初購入予定であった分析カラム、試薬等は研究室保有のもので代替することができたため本年度の使用額が少なくなった。次年度は、これら物品の購入が必要となるため、本年度分と合わせて、滞りなく予算を執行することができる。
|
Research Products
(3 results)