2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel biochemical experiment tools based on metal-olefin specific interactions
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22K05316
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松尾 貴史 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (50432521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 聡 兵庫県立大学, 理学研究科, 特任助教 (30452535)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタセシス / ルテニウムーオレフィン相互作用 / ホベイダ-グラブス錯体 / ルテニウム錯体移動反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体分子化学の研究において、「標的生体分子の選択的化学修飾・標識」は重要な実験技術であり、金属錯体触媒反応は高い官能基選択性から、その有用性が認識されている。しかし、金属錯体の疎水性、 水中での反応性低下といった問題点があり、生体分子化学研究のツールとし ての適用は困難とされている。そこで、本研究を通して、「親水性ホベイダ-グラブス錯体」が、これらの問題を克服するのに有用であり、当該研究分野で実施される実験条件下で利用可能な生体分子修飾ツールであることを明らかにする。今年度は、ホベイダ-グラブス錯体の特徴である「ルテニウムーオレフィン相互作用」が水中でも機能するのか?という点を明らかにする目的で実験を行った。 システイン残基を含むトリペプチドをモデルペプチドとして、システイン側鎖にオレフィンを導入したのち、親水性ホベイダ-グラブス錯体をドナーとする「ルテニウム錯体移動反応」を、生理食塩水中、1:1の両論比で試みたところ、収率60%程度で進行したこの反応においては、ドナー、アクセプター両方ともカチオン性であり電荷反発が予想されるが、錯体移動反応が進行したことから、ルテニウム-オレフィンの相互作用は、水中で、しかも電荷反発が起こりうる条件下でも強く働くことを見出した。錯体移動反応で生成する化合物は、セルフメタセシス反応の反応中間体に相当する。そこで、トリペプチド同士のセルフメタセシス反応を観測したところ、N末端の電荷状態を減少させることで収率の向上が見られた。メタセシス反応では、反応中間体が生成したのち、もう一分子のペプチドが接近して最終生成物が得られる。つまり、もう一分子のペプチドが接近する段階では電荷反発の影響が無視できないことを示しており、「反応点近傍での電荷反発を避ければ、分子全体としては電荷を帯びていても良い」という分子設計の許容性に関する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の遂行するにあたり、最初の関門である「水中におけるホベイダ-グラブス錯体の反応性の担保」について、水中でもルテニウム-オレフィンの相互作用が機能し、基質の分子設計許容性に関する知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
トリペプチド上での反応の進行が確認されたので、タンパク質に研究対象を拡張し、タンパク質化学修飾のツールとしての利用展開について検証する。
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Causes of Carryover |
購入予定であったタンパク質精製カラムの納品が品薄で遅れており、令和5年度に購入を延期したため。
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Research Products
(10 results)