2023 Fiscal Year Research-status Report
パターン認識による新規がん診断応用センサ材料の開発
Project/Area Number |
22K05324
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
南 皓輔 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 主任研究員 (10747463)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノメカニカルセンサ / パターン認識 / センサ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの早期発見・スクリーニング技術の開発は極めて重要な課題であるものの、一般の個人が簡便に扱える技術として社会実装されていないのが現状である。 課題の一つとして、単一の成分が変化するわけではなく、複数の成分のバランスが変化するがんにおいて、単一のバイオマーカーを検出する手法では限界があ る。そこで本研究では、申請者が独自に開発した全く新しい「パターン認識による液中成分識別法」のがん早期発見を目指したスクリーニング技術に応用するた め、有用なマトリックス材料の開発とそのがん診断への応用可能性を示すことを目的とする。本手法は、液体成分を抽出し固定化することで、固定化したマト リックス材料の力学的応答の変化を指標とすることで、その違いを種々のプローブガスから得られる多様なシグナルからパターン認識により識別するものであ り、抽出効率、検出感度、幅広い吸着選択性の全てを兼ね備えたマトリックス材料が必要不可欠である。これらの要求を兼ね備えるナノ炭素材料の合成開発、マ ウスを用いた動物実験系により、がんの識別可能性を示すことで、将来的ながんのスクリーニング技術に繋がる新たな手法の確立を目指す。 2023年度は、種々の感応膜材料の探索・応答特性評価、生体分子への吸着特性等を検討した。具体的には、吸脱着過程における感応膜の示す粘弾性特性と気相中のガス成分の比率(ラウールの法則など)との関係とそこにおける応答感度への影響について評価した。また、複数のガス成分との応答特性の理論モデルの構築を達成した。さらに、生体分子を用いた感応膜材料の応答特性・吸着特性についても評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、対象のガスのみに注目していたガスセンシングにおいて、対象以外のガス成分に着目することで、新たな検出手法への展開が見られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に得られた知見を元に、培養細胞を用いたがんの識別、有用な特徴量と解析アルゴリズムの構築を進め、論文化を目指す。さらに、続く動物実験系につな がる感応膜材料の選定、液中成分の抽出効率の評価を進める。
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Causes of Carryover |
2023年度当初の予定より生体関連備品・薬品等の購入が次年度に繰り越されたため。
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