2023 Fiscal Year Research-status Report
新規修飾アンチセンスを用いた標的選択的なRNAグアニン四重鎖安定化法の開発
Project/Area Number |
22K05326
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
萩原 正規 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (40403000)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | アンチセンス核酸 / グアニン四重鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
グアニン塩基に富むRNA配列は、DNA同様に高度に熱力学的に安定なグアニン四重鎖構造を形成することが知られている。ゲノムから転写されたmRNA配列中に存在するグアニン塩基に富む領域は、カリウムイオン存在条件において安定なグアニン四重鎖構造を形成し、リボソームによるタンパク質への翻訳過程を阻害することが近年明らかにされた。このことから、グアニン四重鎖構造は遺伝子発現等に重要な役割を果たすことが理解されつつある。これまでの申請者の研究成果において、グアニン四重鎖構造が近接すると高度に安定化された高次構造体(タンデム型グアニン四重鎖構造)を形成することを明らかにした。本研究では、予めグアニン四重鎖を形成するように設計した配列(例えば、5'-GGGtGGGtGGGtGGG)を、アンチセンス核酸の末端部に導入した新たなアンチセンス核酸を作製し、グアニン四重鎖構造が積層したタンデム型グアニン四重鎖構造体を人工的に模倣したRNA-DNAヘテロタンデム型四重鎖構造体をmRNA中に誘起し、タンデム型四重鎖構造形成が遺伝子発現に及ぼす影響を解析することを目標としている。本年度は昨年度までに設計手法を確立したタンデム型グアニン四重鎖構造を誘起するアンチセンス核酸を利用することによるタンパク質翻訳阻害試験に取り組み、あらかじめグアニン四重鎖構造を有する標的遺伝子に対して優れた翻訳阻害効果を示すことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者がこれまでに報告した、『グアニン四重鎖構造を誘導するアンチセンス核酸の開発』において作製した評価系(Journal of the American Chemical Society, 2010, 132, 11171-11178、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2010, 20, 2350-2353)を用いることで、本研究のコンセプトを昨年度に達成するとともに、本年度は、主要な目的として設定したmRNAからタンパク質への翻訳阻害効果を示すことができた点から順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度と本年度の研究結果より、グアニン四重鎖構造体修飾アンチセンス核酸はRNA構造中に安定なタンデム型四重鎖構造を誘起することにより、逆転写だけでなくin vitro無細胞タンパク質発現系を利用した翻訳の過程を阻害できることを明らかにできた。今後、生物学的な安定性を向上させるために、有効なアンチセンスの化学修飾法を開発するとともに、細胞を利用してタンパク質翻訳過程を制御可能な修飾アンチセンス核酸の開発を進めていく。
|
Causes of Carryover |
本年度は、無細胞翻訳系を利用したタンパク質翻訳阻害試験を計画していたが、一回あたりの反応容量を当初の見積もりより少量で行うことができたため、当初の計画より低予算で研究を進めることができたことから次年度繰越となった。本年度は、これまでに見出した骨格構造を修飾しアンチセンス核酸の最適化を行うことを計画している。そのため、昨年度に比べてDNA合成や、合成アンチセンス核酸の生化学的評価を行うための試薬購入が大きく増加すると見込んでいる。
|
Research Products
(1 results)