2023 Fiscal Year Research-status Report
インスリン分解酵素の活性分離に及ぼすチロシン修飾の影響
Project/Area Number |
22K05343
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
幡川 祐資 東北大学, 薬学研究科, 助教 (30878351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 知行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (10203712)
李 宣和 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (60519776)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インスリン分解酵素 / チロシン残基 / Cookson型試薬 / タンパク質ラベル化 / アミロイドβ / インスリン / exo site |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン分解酵素 (IDE) は、血糖降下ホルモンのインスリンのみならず、アルツハイマー病 (AD) の病因物質のアミロイドβ (Aβ) も分解する。そのためIDEは、2型糖尿病のリスク上昇と、ADのリスク軽減の二面性を有する。一方IDEによる分解は、活性中心のactive siteと基質結合部位のexo siteが関与し、これらにはチロシン残基 (各々Tyr831とTyr314) が存在する。そのためTyr残基の修飾を介し、インスリン分解の抑制とAβ分解の亢進など好ましい基質特異性の改変も期待される。そこで本研究では、TyrとのEne反応が知られるCookson試薬 (4-phenyl-1,2,4-triazoline-3,5-dione, PTAD) を用い、IDEのTyr修飾によるAβ及びインスリン分解活性への影響評価を目的とした。 IDEのTyr残基43個中、鍵となるTyr831とTyr314を含む15個の修飾を確認した。またPTAD修飾による基質特異性 (3日後の残存率) の変化は、Aβ, 1%以下→ 1%以下; インスリン, 5%→ 90%とインスリン分解の抑制のみ観察された。更に切断点を比較したところ、AβではIDEで22カ所、PTAD-IDEで19カ所、そのうち、18カ所で同じ切断部位を同定した。一方インスリンでは、IDEで20カ所、PTAD-IDEで2カ所の切断部位を同定し、この2カ所はIDEと同じ切断部位であった。この結果は、Aβとインスリンの共存下でも同様であった。このインスリンに対する基質特異性の変化は、IDEとAβまたはインスリンの複合体の立体構造から、exo siteに存在するTyr314修飾の影響と示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インスリン分解酵素等の海外から輸入している試薬や器具の納品に遅れが発生した。さらに、インスリン分解酵素の活性を測定するLC-MS/MSの一部に不具合が生じた。以上の原因により実験がやや遅れている。輸入品の遅れに関しては、業者と事前に連絡を取り在庫状況を確認、LC-MS/MSに関しては、修理が完了した為、今年度遅れは取り戻せる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
【PTAD-IDEの反応速度の検討】LC-UVによってsubstrate-V (330 nm)、Aβ (280 nm) およびインスリン (280 nm) に対するPTAD-IDEの各Km、Vmax、Kcatを算出する。加えて、IDE (ポジティブコントロール) と比較する。 【IDEのTyr(Y)314、831変異体の作製およびPTADによる変異体IDEの基質分解活性の検討】IDEの変異体 (Y314F、Y314S、Y831F、Y831S) を作製後、substrate-Vによって分解活性の有無を検討する。活性があった変異体IDEに関しては、PTADと反応させ (200 mM Tris-HCl, pH7.5, 37 ℃, 1 h)、Aβおよびインスリンに対する分解活性活性を比較・検討する。 【その他基質 (グルカゴン、アミリン) に対するPTAD-IDEの分解活性の検討】PTAD-IDEとグルカゴンおよびアミリンを反応させ (200 mM Tris-HCl, pH7.5, 37 ℃, 3 日間)、LC-MS/MSにより分解活性および切断点を比較する。加えて、LC-UVによってグルカゴン、アミリン (UV 280 nm) の各Km、Vmax、Kcatを算出する。 【PTAD-IDEの立体構造解析 (将来の展望)】PTAD-IDEとAβまたはインスリンの複合体をクライオ電顕を用いて立体構造を解析する。
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Research Products
(4 results)