2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel MRI contrast agents for macrophage imaging enables risk evaluation of unruptured cerebral aneurysm
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22K05356
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (20211914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 祐 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90566027)
三浦 理紗子 京都大学, 工学研究科, 助教 (40881694)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁気共鳴イメージング / マクロファージ / 未破裂脳動脈瘤 / ナノ粒子造影剤 / ガドリニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者のグループでは、既に、ゼラチン被覆 Gd ナノ粒子型 MRI 造影剤の設計・合成に成功し、MRI 造影剤としての機能を明らかにしている。令和4年度は、このゼラチン被覆 Gd ナノ粒子に加え、新たに 3 種類の生体適合性高分子(還元糖(CMD)、オクチルアミン/ポリアクリル酸(OA/PAA)、メタクリル酸メチル(PMMA))を利用し、ナノ粒子表面を被覆した 3 種類の新規 Gd2O3 ナノ粒子、およびデキストラン(Dex)で表面被覆した GdPO4 ナノ粒子の合成に成功した。 そこで、生理条件下での各ナノ粒子の安定性・分散性を明らかにするため、5 種類の Gd ナノ粒子の粒径を動的光散乱法(DLS)と透過型電子顕微鏡(TEM)により、表面電位を電気泳動光散乱法(ELS)により決定した。各ナノ粒子中の Gd 含有量は、熱重量分析(TGA)と原子吸光光度計により測定し、決定した。さらに、濃度の異なる各 Gd ナノ粒子の水分散液を調製し、T1 強調 MRI 造影により、縦緩和能 r1 、横緩和能 r2 を算出し、MRI 造影能(r2 / r1)を評価した。 一方、各 Gd ナノ粒子のマクロファージ細胞株(RAW 264.7)への取り込み量(=1細胞当たりの取り込み量/投与濃度)は、原子吸光光度計により決定した。 以上の結果を総合的に考慮し、令和 5 年度以降、ラット動脈瘤モデルに尾静脈投与し、動脈瘤病変部位に高集積しているマクロファージの MRI造影剤として、第一候補を「PMMA 被覆 Gd2O3 ナノ粒子」、第二候補を「Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子」に決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、くも膜下出血の主原因である脳動脈瘤破裂のリスクを、病変部位に高集積するマクロファージの MRI 画像により層別化するために必須のコンビネーションプロダクトとして、革新的 Gd ナノ粒子 MRI 造影剤を開発する。特に、“active” な脳動脈瘤に高集積するマクロファージイメージングを実現するため、生体適合性に優れた高分子で表面を被覆した数種類の Gd ナノ粒子型 MRI 造影剤を開発し、脳動脈瘤の破裂リスク評価に有効な質的情報を得ることを目的とする。 令和 4 年度の研究において、5 種類の生体適合性高分子を用いて表面被覆した新規 Gd ナノ粒子の合成に成功し、それらの粒径、表面電位、ナノ粒子中の Gd 含有量、および生理条件下での安定性を明らかにするとともに、MRI 造影剤としての有効性を、水のプロトンの縦緩和能 r1、および横緩和能 r2 測定により明らかにした。 以上の結果に基づき、令和 5 年度以降、ラット動脈瘤モデルに尾静脈投与し、動脈瘤病変部位に高集積しているマクロファージの MRI 造影剤として、2 種類の Gd ナノ粒子を選定した。従って、本研究は、当初の計画通り、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和 4 年度の研究成果に基づき、第一候補である「PMMA 被覆 Gd2O3 ナノ粒子」、および第二候補である「Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子」について、まず、細胞毒性を明らかにする。毒性が観測されない(検出限界以下である)ことが確認された場合には、それぞれの Gd ナノ粒子を MRI 造影剤として、ラット動脈瘤モデルに尾静脈投与し、動脈瘤病変部位に高集積している炎症性マクロファージの MRI 画像化の可能性について検討する。その際、Gd ナノ粒子の最適な投与濃度、およびマクロファージの MRI 画像化に必要な Gd ナノ粒子の最適投与量を明らかにするとともに、明瞭な MRI 画像が得られる Gd ナノ粒子投与後の造影時間を明らかにする。 本研究では、脳動脈瘤病変部位という脳内の非常に限られた領域に高集積するマクロファージを、2 種類の「生体適合性高分子被覆 Gd ナノ粒子型 MRI 造影剤」を用いることにより、MRI 画像を取得し、脳動脈瘤の破裂リスクの層別化を行うことを最終目標とする。しかしながら、通常の T1 強調 MRI 画像化法では、近接する動脈瘤内の血液由来の MRI 信号が、強いバックグラウンドノイズとして観察されることが予想される。これらのノイズを無信号にし、マクロファージ由来の MRI 信号のみを増強するためには、Black Blood 法 MRI 画像化が有効であると考えられ、本 MRI 画像化法の有効性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度、物品費として使用する予定である。
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Remarks |
上が研究室 HP、下が京都大学工学部公開講座・オープンセミナーの ZOOM 録画。
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Research Products
(9 results)