2023 Fiscal Year Research-status Report
小分子化合物によるグルコース非依存性がん代謝機構の理解と制御
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22K05363
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川谷 誠 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (50391925)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん / 代謝 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、GLUT阻害剤や解糖系を標的とした小分子化合物を用いて、グルコース非依存性がん細胞に対する作用メカニズムを明らかにし、それらの抗がん剤としての有用性をin vitroで検証することである。 本年度は主に、解糖系タンパク質を標的とした小分子阻害剤を化合物アレイスクリーニングにより探索した。アルドラーゼA(ALDOA)は解糖系の4番目の酵素で、フルクトース-1,6-二リン酸からジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3リン酸を生成する。ホスホグリセリン酸ムターゼ 1(PGAM1)は解糖系の8番目の酵素で、3-ホスホグリセリン酸から2-ホスホグリセリン酸への反応を触媒する。 理研Natural Products Depository(NPDepo)の化合物ライブラリーを固定化した化合物アレイスライド上にヒトリコンビナントHis-ALDOAあるいはHis-PGAM1を供し、抗体反応で蛍光ラベルした後、蛍光スキャナーを用いてタンパク質-化合物間相互作用を定量した。得られたヒット化合物は、マイクロスケール熱泳動(MST)を用いた分子間相互作用解析による2次スクリーニングにより、候補化合物を絞り込んだ。NPDepo化合物ライブラリーおよそ36,000化合物をスクリーニングした結果、ALDOAでは比較的強い相互作用を示した3化合物(Kd = 60~700 nM)、PGAM1では6化合物(Kd = 210~370 nM)の候補化合物を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、解糖系タンパク質に対する小分子阻害剤を化合物アレイスクリーニングにより探索した。解糖系タンパク質であるALDOAやPGAM1に対して、比較的強い相互作用を示す複数の化合物を同定することができ、当初の計画通りおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた候補化合物のin vitroおよび細胞での活性を評価していく。また、ALDOAやPGAM1以外の代謝関連タンパク質に対する小分子阻害剤の探索も進めていく。
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Causes of Carryover |
消耗品費が当初予定していた額より抑えられたことにより、次年度使用が生じた。これらの費用は、次年度の消耗品費として使用する予定である。
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