2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the periplasmic chaperone network underlying outer membrane protein folding
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22K05387
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Research Institution | Yamagata Prefectural Yonezawa University of Nutrition Sciences |
Principal Investigator |
成田 新一郎 山形県立米沢栄養大学, 健康栄養学部, 教授 (30338751)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外膜タンパク質 / シャペロン / プロテアーゼ / 細菌細胞表層 / 表層ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラム陰性細菌の外膜タンパク質の膜組み込みに働くBAM複合体の構成因子BamBを欠損する大腸菌は、抗生物質などの異物に対して感受性を示す。外膜と内膜の間にあるペリプラズム空間で働くシャペロン/プロテアーゼであるBepAは、BAM複合体と相互作用しながら外膜タンパク質のアセンブリを促進するとともに、アセンブリが阻害された外膜タンパク質を分解することで外膜の機能維持に働くと考えられている。BamBとBepAを共に欠失する変異株では抗生物質やSDSに対する感受性が更に上昇する。一般に、bepA遺伝子欠失株が抗生物質に対して感受性を示す理由は、リポ多糖の輸送に関わる外膜タンパク質LptDのアセンブリが阻害されるためと考えられているが、bepA/bamB二重欠失株がSDS感受性を示す理由は十分に明らかになっていない。 BepAおよびBamBの未知の機能を探ることを目的に、bepA/bamB欠失株からSDS耐性株を選択したところ、アデニル酸シクラーゼをコードするcyaA遺伝子の変異体が分離された。この結果から、cAMPおよびCRPによって転写制御を受ける遺伝子がbepA/bamB欠失株のSDS感受性に関係していることが示唆された。cAMP-CRPによる転写制御を受ける遺伝子の中からSDS感受性に関与する遺伝子を探索したところ、外膜タンパク質をコードするlamBやfadLの発現上昇がbepA/bamB欠失株のSDS感受性を増加させることがわかった。これらの結果から、BepAがBAM複合体と協調してcAMP-CRP依存的な環境応答に関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、外膜タンパク質のフォールディングに関わるペリプラズムシャペロンが細胞内で協調して機能する実態を、分子レベルから細胞レベルに至る解析を通して解明することを目的としている。研究代表者らは以前にBepAとBamBを共に欠失する変異株が抗生物質や界面活性剤であるSDSに対して高度に感受性を示すことを報告したが、その理由は十分に明らかになっていなかった。令和5年度はbepA/bamB二重欠失株から分離したSDS耐性変異株を詳細に解析し、この変異株ではアデニル酸シクラーゼをコードするcyaA遺伝子に変異が起こっており、変異株中ではcAMP-CRP複合体依存的な転写誘導が抑制されていることを確認するとともに、cAMP-CRP依存的に転写誘導される遺伝子の中でも特に外膜タンパク質をコードするlamB遺伝子やfadL遺伝子の発現上昇がbepA/bamB二重欠失株のSDS感受性に関与していることを明らかにすることができた。このように、遺伝子多重欠失株の表現型解析を中心に解析を進めた結果、ペリプラズムシャペロンやBAM複合体をコードする遺伝子と遺伝的相互作用を示す遺伝子群を新たに同定することができ、今後の研究を進める上で重要な手掛かりを得ることができたことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の令和5年度の研究成果により、細胞内における代謝の状態と細胞表層の機能が相互に影響を及ぼしていること、中でもペリプラズムシャペロンの働きが細胞内と細胞表層の調和のとれた環境適応にとって重要であることがわかってきた。今後は、外膜タンパク質のフォールディング状態が外膜の機能に及ぼす影響を明らかにするために、一定の生育条件で解析を行うだけでなく、様々な生育条件や増殖期における外膜機能の変遷を追跡する必要がある。このために、リン脂質に結合して蛍光を発する1-N-phenylnapthylamineや、Hoechst 33342をはじめとするDNAインターカレーターなどの蛍光プローブを利用し、ペリプラズムシャペロンやBAM複合体構成因子の変異株を用いて外膜透過性をリアルタイムで定量的に解析することで、これらの因子が外膜機能に及ぼす影響を評価する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、精製したBepA変異体を用いたシャペロン活性の測定などの生化学的解析を予定していたが、令和5年度は分離した大腸菌変異株の解析と、そこから展開した多重遺伝子破壊株の作製と解析に注力したため、当初予定していた実験に使用する予定であった試薬・消耗品の購入を見合わせた。 令和6年度はこれまでの本研究課題で得られた知見をより定量的に評価することのできる実験や、外膜機能をリアルタイムかつ定量的に解析するための実験に必要な試薬・消耗品の購入に次年度使用額を充てる。
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Research Products
(2 results)