2022 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of clock gene orthologues in plant-associated bacteria in the phyllosphere and rhizosphere
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22K05394
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
井口 博之 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 准教授 (30712020)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 概日時計 / 植物共生細菌 / 時計遺伝子 / 環境応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
日周変動と関わりが深い植物環境に生息する細菌において、時計遺伝子(kai遺伝子)オルソログの機能解明を目指している。これまでに葉面細菌Methylobacterium extorquensが2コピー持つkaiCがストレス耐性を制御し、葉上の生育に寄与することを明らかにしてきた。本研究では、M. extorquensに加えて根粒菌M. nodulansを用い、多様な環境因子が存在する植物環境(葉上・根上)におけるkai遺伝子の機能解明、および制御遺伝子kaiRやkaiKを含めたkai制御系の制御機構の解明を目指す。それにより、植物上での生育に係る微生物機能や時計遺伝子の機能進化について理解を深化させる。今年度は以下の研究に取り組んだ。 (1)kaiC遺伝子の葉上での発現レベル: in vitro実験ではM. extorquensのkaiCが青色光や熱に転写応答することが分かっているが、葉上でいつ機能しているか不明である。機能の指標を、kaiC遺伝子発現レベルとKaiCタンパクのリン酸化レベルと考えた。まずkaiCプロモーターにレポーター遺伝子を連結したレポーター系を導入した本菌をシロイヌナズナに接種し、一日(昼夜サイクル)の中での発現レベルを解析した。 (2)kai遺伝子を介した制御機構: M. extorquensにおいて、KaiRのKaiCリン酸化への影響を調べるため、遺伝子破壊株についてPhos-tag SDS-PAGEを行った。またM. nodulansにおいてはkaiC破壊株とkaiK破壊株の構築を進めた。 (3)kaiC遺伝子の時計機能: M. extorquensのkaiCが時計機能を有するのか調べるため、レポーター系を用いた経時モニタリングにより遺伝子発現レベルを測定し、遺伝子発現の概日リズムが生じる培養条件を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
M. extorquensの葉上でのkaiC発現レベルについては、実験手法を確立することができ、データを順調に取得できている。しかし、葉上から回収した菌のKaiCリン酸化の検出がうまくできておらず、実験方法を検討中である。またM. nodulansの遺伝子破壊株作成のためのプラスミドは構築できたが、相同組み換えによる意図した遺伝子破壊株を得ることができておらず、本菌の制御機構を調べる実験が停滞している。M. nodulansのレポーター系は構築できたため、本菌のkaiCが応答する環境因子の探索を進めていける。
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Strategy for Future Research Activity |
シロイヌナズナを様々な条件で栽培し、そのときの葉上でのM. extorquensのkaiC発現レベルの変化を調べていく。KaiCリン酸化は、用いる菌体量やタンパク質の抽出方法を検討する。検出を達成できたら、前記遺伝子発現レベル実験と同様にシロイヌナズナを各種条件にて栽培しリン酸化レベルの変化を調べる。kai制御系の全体像を明らかにするため、遺伝子破壊株においてRNAシークエンス解析を行う。結果より、制御下にあると推定された遺伝子については、kai遺伝子との制御の関わりを調べていく。 M. nodulansの遺伝子破壊株は、調べる検体数を増やしたり、遺伝子破壊用プラスミド導入の手法を検討することで取得を目指す。遺伝子破壊株を構築できたら、表現型を解析し、本菌のkaiCの制御下にある機能を明らかにする。またレポーター系を用いた実験により、kaiCが転写応答する環境因子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
遺伝子破壊株の構築が成功していないことなどを理由として、研究の進捗が遅れたため予算の繰り越しが生じた。今年度は遅れている研究を進めて、予定していた予算を使用したい。また今年度はRNAシークエンス解析に申請時の想定よりも多くの費用がかかる可能性があるため、繰り越した予算の一部を追加で充てたいとも考えている。
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Research Products
(1 results)