2023 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of palmitoleic acid-producing strains focused on iron acquisition
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22K05404
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹野 誠記 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30422702)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コリネバクテリウム グルタミカム / パルミトレイン酸 / 脂肪酸生合成 / 脂肪酸不飽和化酵素 / 鉄獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,産業微生物であるコリネ菌(Corynebacterium glutamicum)を用いて,機能性脂肪酸であるパルミトレイン酸(POA,C16:1Δ9)を生産する菌株を育種してきた。その解析を通して,鉄の獲得に関わると推定される多数の遺伝子のリプレッサーとして働くDtxRの機能弱化変異が,この生産菌のPOA合成を可能にしていることを突き止めた。POA合成に関わる酵素が鉄酵素であることと合わせて,『鉄獲得のメカニズムを強化すれば,より高性能なPOA生産菌を創出できる』という着想に至った。しかし,本菌種のそのようなメカニズムについてはほとんどわかっていない。本研究では,コリネ菌の鉄獲得に関わる遺伝子の同定を試みる。我々が目的とする遺伝子は,DtxRが発現を抑制する遺伝子の中に存在すると想定される。 抗生物質ストレプトニグリンは,細胞内の鉄イオンで活性化されてフリーラジカルを生じ,DNAの損傷を引き起こして細胞死をもたらす。他菌種では,ストレプトニグリンの耐性形質を指標に,鉄獲得の変異株が取得されている。令和5年度は,上述のPOA生産菌からストレプトニグリン耐性株を多数取得した。さらに,それらのすべてに対して生育特性解析を進めた。その結果,鉄の利用能が低下した変異株を取得するに至った。変異株を全ゲノム解析に供したところ,ABCトランスポーターのコンポーネントをコードすると予想される遺伝子に変異が見いだされた。この遺伝子が本菌種の鉄獲得に関わっていると考えられる。なお,同遺伝子についてはDtxRのレギュロンメンバーであることは報告されているものの,その機能については全く未知である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本菌種の鉄獲得に関わると考えられる遺伝子を取得することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
見出された遺伝子の機能解析を進める。令和6年度は,同遺伝子の破壊がPOA生産菌の鉄獲得能にどのような影響を与えるのか,さらに,同遺伝子の高発現がPOA生産菌の鉄獲得能を向上させ,これがPOA生産の効率化につながるのかどうかを検証する。
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