2022 Fiscal Year Research-status Report
固相培養条件下の麹菌における遺伝子の動的発現制御機構の解明とその応用
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22K05405
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
兒島 孝明 名城大学, 農学部, 准教授 (40509080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 潤一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任教授 (00431833)
中野 秀雄 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00237348) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Aspergillus oryzae / 発酵生産 / バイオインフォマティクス / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、A. oryzaeの固体培養における遺伝子発現動態の包括的理解とその技術基盤構築を目的として研究期間1年目に以下のアプローチを実施した。 ・SC条件下のA. oryzaeにおけるmRNAレベルでの動的転写制御機構のデータベース構築の予備検討 SC培養後のA. oryzaeより抽出したRNAを用いることで一定時間ごとの遺伝子発現動態をトレースできるかどうかの予備検討を実施した。A. oryzae野生株を寒天プレート上で培養し、植菌後3日後から7日後まで1日おきに菌体を回収した。これらの菌体よりRNAを抽出し、高速DNAシーケンサーによって各培養時間ごとのA. oryzae全遺伝子の発現データを取得した。取得した発現動態をもとにクラスタリングを実施し、類似発現パターンを示す遺伝子群をグループ化した。各クラスター中の遺伝子の機能を精査したところ、一つのクラスターでは過半数がリボソームタンパク質で構成されていた。この結果は、サンプリングからRNA-Seq、クラスタリングに至る一連の作業工程の適切さを示すものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が本研究期間開始時期の2022年4月にこれまで所属していた研究期間とは別の機関へ異動したため、研究実施環境の再構築に想定以上の時間を要したことが主な要因として挙げられる。実際、SC条件下のA. oryzaeのゲノム動態の解析など、当初1年目に予定していた実施内容を十分行うことができなかった。しかしながら、異動後の研究遂行環境は整いつつあり、今後の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に得られた研究成果をもとに、下記のアプローチを実施する。 ・難分解性C源条件下における全遺伝子発現量の時系列データベース構築 通常のC源(スクロース)もしくは難分解性のキシランを唯一炭素源とした固相培養条件下におけるA. oryzae菌体を一定時間ごとにサンプリングし、RNA-Seqにより各条件ごとの全遺伝子の発現量の時系列データを取得し、データベース化する。 ・難分解性C源条件下におけるクロマチン構造の時系列データベース構築 通常のC源(スクロース)もしくは難分解性のキシランを唯一炭素源とした固相培養条件下におけるA. oryzae菌体を一定時間ごとにサンプリングし、架橋処理を施したゲノムを回収し、各条件ごとのクロマチン構造の時系列データを取得し、データベース化する。 ・天然SC条件下のA. oryzaeにおける動的転写制御機構の網羅的解析 米粒上で培養したA. oryzaeより抽出したRNAやゲノムを用いて同様の手法により全遺伝子の発現量とクロマチン構造の時系列データを取得し、データベース化する。 これらのデータベースを活用し、ゲノム構造の動態を考慮した代謝パスウェイの最適化と新奇高機能性A. oryzaeの創生技術を確立する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属研究機関の異動に伴い、当初予定していた実験内容の一部を実施できなかったため。差額分は当初2022年度に遂行を予定していたA. oryzaeのゲノム構造の経時変化の解析に関連する実験に必要な消耗品購入分とする予定である。
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