2022 Fiscal Year Research-status Report
Directed evolution of sequence-regulationg polyhydroxyalkanoatae synthase for novel biopolyester biosynthesis
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22K05422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 宏矢 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 准教授 (00814229)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポリヒドロキシアルカン酸 / 指向性進化 / 生分解性プラスチック / 生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
Error-prone PCR法によってランダム変異を導入したphaCAR変異遺伝子ライブラリーを作製し、これらを導入した大腸菌を3HHxを含む培地で培養した。PHAの合成量に応じて蛍光を発する蛍光色素ナイルレッドが含まれる培地で培養したところ、いくつかの変異体は親酵素よりも高い蛍光強度を示した。これらの変異体の変異点を同定した結果、N149D, F314L変異が見出され、これらの変異が3HHxの導入効率を高めていることが明らかとなった。続いて、F314に対して20種類全てのアミノ酸で一つずつ置き換えた飽和変異遺伝子ライブラリーを構築し、それぞれのポリマー合成量、3HHx導入率、モノマー配列を調べた。その結果、F314Hはいずれも高い結果を示し、3HB-3HHxからなるブロック共重合体を合成できることがわかった。さらにPhaCAR F314H変異体の組換えタンパク質を調製し、その酵素活性を調べたところ、3HHx-CoAに対して親酵素よりも高い酵素活性を示すことが明らかとなった。N149, F314をPhaCARのコンピュータ上での予想立体構造情報に当てはめたところ、F314はポリマー合成に直接関与する活性中心残基C315に隣接していた。そのため、F314への変異導入は基質選択に重要な役割を果たすことが示唆された。N149は活性中心からは離れたところに位置していたが、酵素活性に重要と思われるループ領域上のN396と相互作用していることが示唆された。この相互作用の変化が酵素の立体構造に影響を与え、その結果として基質特異性にも影響を与えた可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した実験により、PhaCARの基質特異性に大きく影響する2つの変異点を見出した。特にF314H変異体は最初の到達目標と考えていた3HB, 3HHxからなる短鎖-中鎖ブロック共重合体を合成可能であることから、おおむね計画通りに研究を進められていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの有効な変異点はそれぞれ独立して得られたため、これらを組み合わせた多重変異体を作製することでさらに3HHx導入効率が上昇する可能性がある。また他のモノマーとの組み合わせについてもポリマー合成量、モノマー組成比、モノマー配列等を検証し、新しいバイオポリエステルの合成を試みる。
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Causes of Carryover |
年度途中に研究機関を異動したことにより研究設備環境が変化したため、当初購入を検討していた研究機材の購入が不要となった。また学内の予算からも研究補助があったため、そちらの予算を充てることができた。この未使用額は、次年度以降、発展的な研究遂行に必要になる実験消耗品の購入費用、およびコロナ禍の収束により増えてきた現地開催の学会参加に係る費用等に充当する予定である。
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