2022 Fiscal Year Research-status Report
ムラサキ科植物におけるナフトキノン系化合物の多様化分子機構の包括的理解
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22K05438
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高梨 功次郎 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (10632119)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ムラサキ / シコニン / アルカニン / アシル基転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
生薬として用いられるムラサキ科植物は、活性成分としてナフトキノン系化合物のシコニンおよびその鏡像異性体であるアルカニンに由来する多様なナフトキノン誘導体を生産する。本研究では、シコニンおよびアルカニンにそれぞれ特異的なアシル基転移酵素のオルソログを複数のムラサキ科植物から単離し、それらの1)アシル基供与体を認識するメカニズム、および2)立体特異的なアシル基受容体の認識機構を調べることで、ムラサキ科植物がどのように多様なシコニン・アルカニン誘導体を作り分けているかを明らかにする。まずはすでに機能解析が進んでいるムラサキのシコニン特異的なアシル基転移酵素LeSAT1とアルカニン特異的なLeAAT1を用いて、アシル基受容体の認識機構を調べることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鏡像異性体の認識機構を明らかにするために、シコニン特異的なアシル基転移酵素LeSAT1とアルカニン特異的なLeAAT1のキメラタンパク質を作製し、基質認識部位の探索を行った。まずそれぞれの酵素を4分割し入れ替えたキメラタンパク質を14種作製した。ほとんどのキメラタンパク質でアシル基転移活性が消失したが、N末を入れ替えたキメラタンパク質で基質認識が変わったことからN末に鏡像体認識部位があると推測した。N末のどのアミノ酸が鏡像体認識に関与しているかを調べるために、N末点変異体を5種作製したがどれも基質認識は変わらなかったことから、鏡像体認識には特定のアミノ酸には依存していないことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
LeSAT1およびLeAAT1、それぞれのパラログをゲノム編集技術によりノックアウトする。代謝プロファイルの変化を観察して、これら分子種のシコニン・アルカニン誘導体多様性への寄与を調べる。
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