2023 Fiscal Year Research-status Report
ムラサキ科植物におけるナフトキノン系化合物の多様化分子機構の包括的理解
Project/Area Number |
22K05438
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高梨 功次郎 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (10632119)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シコニン / アルカニン / BAHDアシル基転移酵素 / ムラサキ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度もアシル基転移酵素がどのようにシコニンとアルカニンの鏡像異性体を認識しているか、その機構を明らかにするために、今年度もムラサキ科ムラサキから単離した2種のアシル基転移酵素のキメラタンパク質の作製を試みた。キメラタンパク質の作製は順調に進んでおり、2024年度にまとめて活性評価を行う予定である。また、当初の計画にはなかったが、シコニン生合成経路の未解明反応段階の解明のために、経路中間体の重水素ラベル体を作製してトレーサー実験を行った。そして、これまで曖昧だったシコニン/アルカニン生合成経路とエキノフラン生合成経路の分岐点の範囲を絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シコニン特異的なアシル基転移酵素LeSAT2とアルカニン特異的なLeAAT1のキメラタンパク質を作製し、基質認識部位の探索を行った。昨年度はLeSAT1とLeAAT1の間でキメラタンパク質の作製を試みたが、基質認識に関与するアミノ酸の同定には至らなかった。その原因として、両タンパク質の細胞内局在が異なることが考えられたので、今年度は共に細胞質局在を示すLeSAT2とLeAAT1のキメラタンパク質の作製を試みた。順調に進んでおり、2024年度にまとめて酵素活性測定を行う。 また、シコニン生合成経路の未解明部分の1つである、(Z)-3"-hydroxygeranylhydroquinone ((Z)-3"-OH-GHQ)からシコニン/アルカニン生合成経路とエキノフラン生合成経路への分岐について解明を試みた。 (Z)-3"-OH-GHQとその(E)体の重水素ラベル体を作製し、ムラサキ培養細胞に投与したところ、(Z)-3"-OH-GHQ処理区からはラベル化されたアシル化シコニンとシコノフランが検出されたのに対し、(E)体の処理区からはどちらも検出されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
LeSAT2とLeAAT1のキメラタンパク質の酵素活性測定を行い、鏡像異性体認識に関与するアミノ酸/ドメインの同定を試みる。また、シコニン生合成経路の全容解明を目的として、(Z)-3"-OH-GHQからデオキシシコニンの変換に関与する酵素の解析を行う。
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