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2022 Fiscal Year Research-status Report

新規酵素によるいもち病菌の植物免疫回避とイネのカウンター防御の分子機構の解明

Research Project

Project/Area Number 22K05447
Research InstitutionKindai University

Principal Investigator

大沼 貴之  近畿大学, 農学部, 教授 (60446482)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords植物免疫 / いもち病菌 / キチナーゼ / キチンオリゴ糖 / 植物病原菌 / エリシター
Outline of Annual Research Achievements

イネいもち病菌がイネへの感染時、細胞外に分泌する糖質加水分解酵素ファミリー18(GH18)キチナーゼMoChia1を大腸菌を用いて発現させ、Niアフィニテイーおよびゲルろ過クロマトグラフィーによりSDS-PAGEで均一なまでに精製した。本酵素の酵素学的性質を調べた結果、至適pHは5.0、至適温度は40℃であり、pH安定性は5.0~9.5、温度安定性は40℃までであることがわかった。キチンオリゴ糖分解を、TLC(薄層クロマトグラフィー)およびHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により解析した結果、本酵素はキチンオリゴ糖3~6糖[(GlcNAc)3-6]を加水分解することがわかった。また、作用様式はGH18キチナーゼとしては異例のエキソ型であった。(GlcNAc)3-6に対する比活性を還元糖定量法により求めたところ、比活性は(GlcNAc)6>(GlcNAc)5>(GlcNAc)4>(GlcNAc)3の順に高く、鎖長が長い基質ほど効率良く分解されることがわかった。ゲルろ過カラムを連結したHPLCを用いた解析により、これまでに(GlcNAc)3と(GlcNAc)5に対する加水分解の速度論的パラメーターを決定した。
精製したMoChia1は、576種類の沈殿剤を用いた蒸気拡散法による結晶化に供した。これまでのところ2条件下で0.4 mm 角程度の結晶が得られている。同結晶を用いてX線による構造決定を試みたが、これまでに良質な回折データは得られていない。
OsTPR1を大腸菌を用いて発現させ、Niアフィニテイーおよびゲルろ過クロマトグラフィーによりSDS-PAGEで均一なまでに精製した。精製したOsTPR1を用いてMoChia1のpNP-キトビオシドの分解活性に対する阻害活性評価を行ったが、これまでのところ阻害活性は検出されていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

組換え型MoChia1とOsTPR1の発現と精製は問題なく進み、両タンパク質を高純度で効率よく得る実験系を確立できている。立体構造の決定には至っていないが、MoChia1の結晶も再現良く作製されることから、今後結晶化条件の最適化を行う。質の良い結晶が得られれば、X線による構造決定までスムースに至るものと考えられる。
OsTPR1によるMoChia1の酵素活性の阻害が検出されない原因については、現在のところ不明である。今後、大腸菌宿主株の変更や、精製用タグタンパク質の種類および付加部位を変更するなど、組換え型OsTPR1の発現系の再検討が必要と考えられる。
MoChia1の活性中心のアミノ酸残基であるGlu116をGlnに変更した不活性変異体MoChia1_E116Qを作製し、野生型MoChia1と同様に精製を行い、精製タンパク質を得た。今後この不活性変異体を用いて、キチンオリゴ糖との結合実験を行う。

Strategy for Future Research Activity

計画通り、ITCを用いてMoChia1_E116Qとキチンオリゴ糖との結合実験を行い、熱力学的パラメーター(結合定数、結合比、エンタルピー変化、エントロピー変化、ギブスの自由エネルギー変化)を決定する。パラメーター決定により、結合の駆動力を明らかにする。また、キチンオリゴ糖の還元末端を修飾した特殊オリゴ糖を用いて、本酵素の反応速度論的パラメーターの決定を正確に行う。
MoChia1の立体構造の決定は、MoChia1のアミノ酸配列が既に立体構造が決定されたGH18キチナーゼの配列と相同性が低いため、AlphaFold2を用いて構築した立体構造モデルを用いて分子置換法により試みる。野生型の構造が決定されたならば、不活性変異体とキチンオリゴ糖基質の共結晶の作製を行う。

Causes of Carryover

OsTPR1によるMoChia1の酵素活性の阻害が検出されなかったことから、阻害活性評価に関わる実験が計画通り進まず、その為の物品費の使用が予定よりも少なかった。また、新型コロナウィルス感染症拡大時に実験遂行が若干滞り、物品費および旅費の使用が減じた。OsTPR1については、再度組換えタンパク質の発現系を構築し、MoChia1の酵素活性阻害評価を行う。翌年度には感染症拡大による研究活動の遅延はほぼないものと考えており、今年度の進捗の遅れを取り戻すべく、未使用額と合わせて次年度使用額を最大限使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] イネいもち病菌Magnaporthe oryzaeが植物免疫回避に用いる特殊酵素の性質2022

    • Author(s)
      大沼貴之、片岡親良、今岡駿、岡田龍大
    • Organizer
      関西グライコサイエンスフォーラム

URL: 

Published: 2023-12-25  

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