2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the stereocontrol mechanisms of the BC-ring in the biosynthesis of canonical strigolactones
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22K05463
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉本 幸裕 神戸大学, 農学研究科, 教授 (10243411)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / 立体制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
Carlactonoic acid(CLA)からorobancholへの変換に関わる酵素としてトマトから発見したSlCYP722Cの機能を、精製酵素を調製して厳密に検証した結果、反応産物は18-oxo-CLAであることが判明した。また、18-oxo-CLAは酸性条件で自発的に環化し、orobanocholと、C環の立体が異なるジアステレオマーを与えた。そこで、報告されているトマトの遺伝子発現情報より、既知のストリゴラクトン生合成遺伝子と同調して発現する、立体選択的な環化に関わるタンパク質をコードしていると考えられる候補遺伝子を選抜し、異種発現したタンパク質を18-oxo-CLAと反応させた。その結果、SlSRFと名付けたタンパク質が18-oxo-CLAを立体選択的にorobancholへ変換することを見出した。ササゲのSlSRFホモログであるVuSRFはSlSRFと同様の活性を示した。ベンサミアナタバコ一過的発現系を用いて、蛍光タンパク質を融合したSlSRFのsignal peptideおよびSlCYP722Cを発現させ、細胞内局在を解析した。その結果、両者はともに小胞体に局在していることがわかった。共局在により不安定な18-oxo-CLAのスムーズな受け渡しが可能となっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CYP722Cの真の酵素機能を明らかにし、植物体からは検出されないorobanchol立体異性体が試験管内で生成する理由を明確にした。このことから、本研究で解明を目指す立体制御因子の存在が強く認識され、その同定に至った。また、小胞体におけるCYP722Cと立体制御因子の共局在を確認し、植物においてorobanocholが立体選択的に生合成される機構の概略を把握できた。
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Strategy for Future Research Activity |
植物において立体制御因子が機能していることをさらに検証するために、ゲノム編集によりトマトでSlSRFをノックアウトし、生合成されるorobanocholの立体に変化が認められるか分析する。また、AlphaFold2によるSlSRFタンパク質の構造予測に基づき、環化反応の触媒に重要と考えられるアミノ酸残基を推定し、当該アミノ酸の置換が酵素活性に与える効果を検証する。さらに、基質である18-oxo-CLAとの相互作用を解析し、立体を制御しつつ環化が進行する分子機構を解明する。
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Causes of Carryover |
本課題の推進に不可欠である質量分析装置の老朽化が甚だしいため、本課題を全うするには補助事業期間の途中でオーバーホールが必要と判断された。令和5年度の直接経費だけでは実施が困難であったため、令和4年度直接経費の一部を次年度使用額として、これらを合算して質量分析計のオーバーホールに充てる。
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