2023 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and development of polycyclic molecules based on gold-catalyzed reaction
Project/Area Number |
22K05467
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
斉藤 竜男 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (40612065)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金触媒反応 / 蛍光分子 / 芳香族複素環化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はこれまでに開発した金触媒を用いた蛍光分子トリアザペンタレンの合成研究を拡張し、1. 様々な蛍光波長を有するトリアザペンタレンの開発、2. 芳香族化合物であるトリアザペンタレンの反応性の調査、3. カスケード型分子内環化による同一出発物質から環化位置の異なるトリアザペンタレン合成法の開発を行った。 1.では金触媒反応の官能基許容性を最大限に利用し、ハロゲン原子を含むトリアザペンタレンなど化学的に不安定な結合を有するトリアザペンタレンを合成した。現在クロスカップリングなど機能性材料合成を志向した分子変換を試みている。2. では10π芳香族複素環化合物であるトリアザペンタレンに対し、様々な求電子剤を作用させたところ、ルイス酸非存在下で位置選択的に芳香族求電子付加反応が進行することを明らかにし、さらに化学修飾したトリアザペンタレンはその蛍光性を維持しながら大きく長波長シフトすることを見出した。3. では1.と同一の出発物質から異なる金触媒反応条件で行うことで高収率かつ環化位置選択的に1.と異なるトリアザペンタレンを合成できることを見出した。さらに合成した新規トリアザペンタレンの蛍光評価を行ったところ、蛍光特性は非常に弱く、同じ官能基を有していながら置換位置が異なることで蛍光特性が大きく異なることが明らかになった。その一方で得られたトリアザペンタレンの化学的安定性は向上しており、高温条件下でも安定であることがわかった。また芳香族求電子付加反応は進行するもののルイス酸が必要であること、位置選択性が異なることが明らかとなり、蛍光特性の変化は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度明らかにした蛍光分子トリアザペンタレンの蛍光特性や分子変換など機能拡張に関する課題について大きく進展した。初年度に開発した手法で合成したトリアザペンタレンに対し酸無水物や酸ハロゲン化物をルイス酸非存在下で芳香族求電子付加反応を行ったところ高収率で反応が進行した。またルイス酸存在下において通常反応しないとされるカルボニル化合物や様々な求電子剤を用いた場合でも反応は進行することを明らかにした。一般的に芳香族求電子置換反応はルイス酸により求電子剤を活性化させることで反応が進行する。トリアザペンタレンはその電子豊富な特徴からその反応性は高いと考えられ、電子求引性置換基を有するトリアザペンタレンではその化学的安定性が向上する傾向があることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発した手法で合成したトリアザペンタレンはその蛍光性は弱いことが明らかとなり、今後理論計算を用いた蛍光特性評価と分子設計を行っていく予定である。また金触媒を用いた分子内環化反応を拡張し、医薬品、農薬に多く含まれるピリミジン環など芳香族複素環骨格の新規合成法を開発し、引き続き検討を行っている。
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Causes of Carryover |
今年度は小スケールでの検討が多く、計上していた消耗品費用を全て使用しませんでした。今年度使用しなかった助成金については次年度は恒温反応装置の購入を検討しています。
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