2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of specific organic synthetic reactions based on anti-entropy control
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22K05469
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松儀 真人 名城大学, 農学部, 教授 (90324805)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不斉配位子 / 立体配座 / 触媒 / エントロピー / フルオラス / フルオロフィリック効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の既存触媒使用時とは異なる反応選択性を達成することを目指し、「フルオロフィリック効果に基づくアンチエントロピー制御型の反応場形成」に焦点を当て、新たな合成基盤技術を開拓することを目的としている。 昨年度の成果として、フルオラスビスオキサゾリン配位子の合成を行い、不斉Henry反応において非フルオラスビスオキサゾリン触媒との反応性及び立体選択性を比較精査し、同一条件下で立体配置の逆転が可能であることを示した。 今年度は、まず三座配位型のピンサー型フルオラスビスオキサゾリンピリジル配位子の合成を行い、不斉Henry反応への適用を試みた。さらにフルオラスタグを多点導入した1,2-ジフェニルエチレンジアミン由来のコバルトサレン錯体を合成し、不斉Michael付加反応における非フルオラスコバルトサレン錯体との反応性および立体選択性を比較精査した。以下にその成果を示す。 ①不斉Henry反応において、ピンサー型フルオラスビスオキサゾリンピリジルコバルト錯体を使用すると、非フルオラスビスオキサゾリン配位子を用いた場合とは異なる立体選択性で生成物が得られることが確認されたが、その程度は8%eeと低かった。② サレン配位子の空間的隣接位(3, 3'位)へのフルオラスタグの二点導入により、分子内でのフルオロフィリック効果によって配座を固定化したフルオラスサレンコバルト錯体と、サレン配位子骨格の遠隔位(5, 5'位)にフルオラスタグを導入したフルオラスサレンコバルト錯体を合成した。③ 比較対象実験の為に非フルオラスサレンコバルト錯体を合成した。④ エントロピー的に不利な配座固定型サレンコバルト錯体を使用すると、trans-β-nitrostyrene を基質としたO-methylhydroxylamineの不斉Michael付加反応が高い立体選択性で進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不斉配位子隣接位へのフルオラスタグ導入を基点とした、分子内フルオロフィリック効果を介する配座固定型触媒の“特異な触媒反応系”を見出すことが目的の一つである。今回、trans-β-nitrostyreneを基質としたO-methylhydroxylamineの不斉Michael付加反応において、光学活性なサレン錯体にフルオラスタグを導入した触媒反応検討を実施した。その結果、サレン配位子の空間的隣接位(3, 3'位)にフルオラスタグを有するサレンコバルト錯体を使用すると、非フルオラス錯体(Jacobsen触媒)を使用した場合よりも高い立体選択性で不斉Michael付加反応が進行することが明らかになった。具体的には、Jacobsen型の非フルオラス錯体を使用した場合には、ほぼラセミ体の生成物が得られたが、同じ不斉源を持つフルオラスサレンコバルト錯体を使用すると、62%eeの立体選択性で生成物が得られた。さらに、反応温度を低下させることで、立体選択性を83%eeまで向上させることができた。 また、1,2-ビス(4-フルオロフェニル)エタン-1,2-ジアミンを不斉源として使用すると、より高いエナンチオ選択性(77%ee vs 62%ee)が得られることも明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
サレン配位子の隣接位にフルオラスタグを2点導入した光学活性なサレンコバルト錯体を使用した場合、trans-β-nitrostyreneを基質としたO-methylhydroxylamineの不斉Michael付加反応が、Jacobsen型の非フルオラス錯体を使用した場合よりも高い立体選択性で進行することが確認できたため、今後は、同フルオラスサレンコバルト錯体をキラルルイス酸として用いる他の不斉合成反応についても詳細に検討する。 まず、不斉Diels-Alder反応に関してその不斉認識能力について精査し、フルオロフィリック効果による配座固定化が立体選択性に与える影響を調べる。さらに、不斉野崎・檜山・岸 (NHK) 反応に関しても同様に精査する。 また、今年度は最終年度であり、研究期間中に得られた成果を総括する。
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[Journal Article] N-Methylated tetrapeptide synthesis via sequential filtration procedures based on TeflonTM immobilization utilizing the properties of fluorous 9-fluorenylmethyl ester2023
Author(s)
Kotaro Ishihara, Yota Tanaka, Yamato Kato, Kazuki Ishihara, Nodoka Ieda, Sakura Mizuno, Yuna Hagiwara, Akihiro Nagaya, Takayuki Nagatsuka, Takayuki Shioiri, Masato Matsugi
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Journal Title
Tetrahedron Letters
Volume: 124
Pages: 154606
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] フルオラス FmOH の特性を活用した逐次ろ過ての N-メチル化テトラぺプチド合成2023
Author(s)
萩原優奈, 石原稿太朗, 田中瑶大, 家田和佳, 水野さくら, 加藤大和, 長屋昭裕, 永塚貴之, 石原一輝, 塩入孝之, 松儀真人
Organizer
第49回反応と合成の進歩シンポジウム
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