2022 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between the anti-obesity effects of fucoxanthin and the gut microbiota
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22K05471
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
前多 隼人 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80507731)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肥満 / 腸内細菌 / カロテノイド / 脂肪細胞 / フコキサンチン / 海藻 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワカメやコンブなどの褐藻類にはカロテノイドの一種であるフコキサンチンが含まれる。これまでの研究でフコキサンチンは脂肪細胞に作用し、内臓脂肪の蓄積抑制効果やインスリン抵抗性の原因となる慢性炎症を抑えることを報告している。本研究では腸内細菌叢の変化、及び短鎖脂肪酸などの有益な腸内細菌代謝物の大腸内での産生能の変化、摂取したフコキサンチンの大腸内での代謝動態について分析をおこなった。 糖尿病肥満モデルマウス(KK-Ay)に対しフコキサンチン0.1%含有食を与え、対照群と比較をおこなった。実験飼育期間中の摂食量や体重に差は認められなかった。一方で対照群と比較しフコキサンチン投与群では、内臓脂肪組織重量が低下傾向を示した。また精巣周囲白色脂肪組織での慢性炎症に関与する因子のmRNA発現量の変化をRT-PCR法で測定した。その結果、レジスチン発現量が低下し、IL-6やTNF-α発現量が低下傾向を示した。よって、これまでの報告と同様にフコキサンチンの摂取は内臓脂肪蓄積抑制効果や慢性炎症の改善作用を示すことが確認された。次に肥満状態では腸内細菌叢が変化し、腸管内のpHが上昇することが報告されている。そこで盲腸内容物のpHを測定した結果、フコキサンチン投与群ではpHが低下傾向を示した。また盲腸内容物の成分を分析した結果、フコキサンチン投与群では腸管内のpH低下に関与する乳酸の含量が増加傾向を示した。よって、フコキサンチンは腸内環境に影響を与えることが示唆された。しかし顕著な変化ではなかったことから、今後投与濃度や投与期間を検討し、再実験する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りフコキサンチン投与による動物試験を実施し、肥満や腸内環境に対する評価を進めることができた。しかし対照群と比較し差が大きくない結果であったことから、フコキサンチン投与濃度や投与期間を検討し、再試験をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満の状態の腸内環境に対するフコキサンチン投与の影響の試験を予定通り進める。また、各臓器のフコキサンチン代謝物の蓄積量を超高速液体クロマトグラフィーにて定量している。代謝物のピークの同定をLC-TOF-MS(液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析計)を用いて分析する。
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