2022 Fiscal Year Research-status Report
質量分析と磁気共鳴法を用いた食品抗酸化活性の新規評価法の確立
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22K05474
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金折 賢二 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 准教授 (30273543)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 抗酸化活性 / 構造同定 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
HPLC-ESRで示される抗酸化活性の各ピーク中に含まれる化合物を質量分析法(MS)と核磁気共鳴(NMR)法で決定し、さらに、HPLC-MSシステムを構築して各ピーク中の抗酸化物質を確定する。それらの結果をもとに、抗酸化活性予測システムを構築し、応用研究をとおして検証して汎用性を確認することが目標である。2022年度においては、以下の①~③の実験について研究を進めた。 ① 10種類程度の代表的な野菜の水溶性成分と脂溶性成分を分別して、水溶性部分についてスーパーオキシドラジカルに対してのHPLC-ESR測定を実施した。三次元クロマトグラフィーを用いて紫外-可視(UV-VIS)スペクトルを同時測定しながら抗酸化物質を分取して、MSとNMRを用いて構造同定をすすめた。植物由来の食品の試料溶液から、HPLCからの溶出物を固相抽出、濃縮してNMRで同定し、複数のアミノ酸および核酸ヌクレオシドを同定した。また、質量分析器に接続するために、酢酸アンモニウムでの分離条件を検討した。 ② フラボノイド配糖体やアントシアニンは代表的な抗酸化物質であり、これらを検出し抗酸化活性を評価することは必要である。アントシアニンを豊富に含む紅芋を試料として用いて分離検出条件を検討し、それらのHPLC-ESR測定を実施した。 ③ 脂溶性部分に含まれる抗酸化活性物質の研究を進めるために、タマネギに含まれる、強い抗酸化物質であるケルセチン誘導体のジメチルスルホキシド中での抗酸化反応の検出および、カテコール部位に生じるラジカル消去活性機構について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022/12~2023/3の期間において学内共同利用のイオンスプレー型の質量分析器に不具合が生じ、抗酸化物質を選択的、効率的に同定するためのHPLC-MS装置を組み上げることができなかった。その後も、質量分析器が使用できない状況にあるため、構造同定にも支障が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
野菜の水溶性成分のHPLC-ESRスペクトルにおける抗酸化活性を示す化合物について、質量分析の修理状況をみながら、当面はNMRスペクトルで構造同定をすすめる。特に、HPLC-ESRの分離条件において1つのピークであるが、その中に複数の化合物が含まれているものについて、逆相HPLCによって分離精製して構造同定をおこなう。 NMRによる一斉分析のスペクトルから、抗酸化活性物質の特徴的なシグナルを同定して、それらのシグナル強度と抗酸化活性の相関を明らかにする。 質量分析器の不具合については、イオンスプレー型の質量分析器に比べると感度の点で劣るが、共同利用のイオン交換型の質量分析器を利用してHPLC-MS装置を組み、分離および検出条件を検討する。
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Research Products
(1 results)