2022 Fiscal Year Research-status Report
核磁気共鳴分光法による清酒原料の新しい判別方法の開発
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22K05476
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
小椋 賢治 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (50270682)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本酒 / 原材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績の概要 本研究では,日本酒の原材料および産地を,NMRによる同位体分析を用いて判別する手法を開発することを目的としている.食品に含まれる元素の同位体存在比は,原材料の生物種や生育環境を反映して,地球上の元素の天然存在比からわずかにずれることが知られている.本研究の成果は,TPPなど日本酒の国際取引の場面において,日本酒の品質を科学的手法により評価あるいは保証する手段となることが予想され,日本酒のブランド価値を保護することにつながる. NMR同位体分析のためには,日本酒に含まれるエチルアルコールを高濃度で精製する必要がある.そのため,本研究では,高性能の蒸留装置が必要である. 蒸留の理論に基づき,備品として購入する蒸留装置の仕様を策定し,装置メーカーに発注および購入した.備品として設置された蒸留装置を用いて,市販の日本酒の蒸留をおこなった.蒸留温度および蒸留時間などを検討して,最適な蒸留条件を決定した.日本酒から蒸留したエチルアルコールの濃度を比重法で測定した.さらに,1H-NMRを測定して,1H-NMRスペクトルの水酸基とH2Oの信号面積から,エチルアルコールと水の質量比を計測した.その結果,当該蒸留装置を用いて,市販の日本酒から質量パーセント濃度で90%以上のエチルアルコールを精製する方法を確立した. 今後は,日本酒から精製したエチルアルコールを測定試料として,NMRによる同位体分析を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に備品として記載した機器を購入し,実際に実験に使用したところ,想定どおりの実験結果が得られ,次年度以降の研究計画および方法が計画どおり実施できる目処がたったため,
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Strategy for Future Research Activity |
日本酒を蒸留して得られたエチルアルコールを測定試料として,NMR測定をおこない,同位体分析をおこなう.同位体分析の結果と日本酒の原料および産地を比較し,それらが同位体比率と相関があるかどうか調べる.
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