2022 Fiscal Year Research-status Report
抗高尿酸血症作用を有する食品成分の探索および新規スクリーニング系の構築
Project/Area Number |
22K05503
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
安達 真一 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (10747041)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高尿酸血症 / 痛風 / ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞培養系および動物実験系を用いて、痛風の基礎病態である高尿酸血症の予防・改善に有効な新規の天然物・食品由来成分の探索を行い、その尿酸値低下のメカニズムを解明することにより、ヒトへ応用するための基礎的な知見を得ることである。高尿酸血症の原因のひとつに、レバー類や白子などのプリン体を豊富に含む食品の過剰摂取が挙げられる。尿酸の主な生産工場は肝臓である。食事から摂取されたプリン体は、主に肝臓においてキサンチンオキシダーゼ(XO)などの数種類の酵素によって最終的に尿酸に代謝され、尿酸は血中に放出される。そこで令和4年度では、肝臓での尿酸産生を想定し、マウス肝細胞由来AML12株化細胞を用いて、尿酸産生抑制作用を有する天然物・食品由来成分の探索を行った。結果、用量依存的に尿酸の産生を抑制する複数の化合物を新たに見出し、そのうち、ケンフェリドが特に強い尿酸産生抑制作用を示した。ケンフェリドはショウガ科のガランガルに主に含まれるポリフェノールで、ガランガルは東南アジアでは食材やスパイスとして利用されている。今後は、ケンフェリドなど細胞レベルで尿酸産生抑制能を示した候補物質が動物レベルにおいても有効であるか、プリン体誘導性高尿酸血症モデルマウスを用いて確認を行い、その作用機序について検討を行う。血中の尿酸濃度は主に肝臓での尿酸産生能と腎臓から尿酸排泄能のバランスに依存するため、抗高尿酸血症作用機序の検討では、肝臓と腎臓を中心に解析を行う。肝臓においては、XO活性、XOタンパク質発現、各種プリン体代謝酵素の遺伝子発現の解析を行う。腎臓においては、URAT1やGLUT9等の尿酸排泄トランスポーターのタンパク質および遺伝子発現の解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス肝細胞由来AML12株化細胞を用いて、尿酸産生抑制作用を有する天然物・食品由来成分の探索を行ったところ、ケンフェリドなどの尿酸の産生を抑制する複数の化合物を新たに見出すことができた。しかしながら、新型コロナウイルスの蔓延による行動制限により研究協力者との日程調整がつかず、細胞レベルで尿酸作成抑制作用を示した化合物について動物レベルでの有効性を確認するための動物実験を行うことが叶わなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和 4年度に見出した細胞レベルで尿酸作成抑制作用を示した化合物について動物レベルでの有効性を確認し、その作用機序について肝臓と腎臓を中心に解析を行う。また腎臓由来細胞を用いて、天然物・食品由来成分の尿酸排泄促進作用を検定する系を新たに構築し、抗高尿酸血症作用を有する成分を探索する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延およびウクライナ情勢等による円高を背景とした試薬類などの物品費の高騰により研究計画の変更が余儀なくされたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、次年度に計画している実験に必要な物品費の購入に使用する予定である。
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