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2022 Fiscal Year Research-status Report

Can plant-derived proteoglycans replace animal-derived proteoglycans?

Research Project

Project/Area Number 22K05508
Research InstitutionTokyo University of Agriculture and Technology

Principal Investigator

野村 義宏  東京農工大学, 農学部, 教授 (10228372)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsアラビノガラクタン-プロテイン / プロテオグリカン / 表皮角化細胞 / 真皮線維芽細胞 / ヒアルロン酸
Outline of Annual Research Achievements

植物に含まれるアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)は植物プロテオグリカンでありコアタンパク質にヒドロキシプロリン(Hyp)をもちガラクトースおよびアラビノースからなるアラビノガラクタン(AG)の分岐鎖が結合した構造をとる。AGPは植物の分化や成長に関わる生理機能を有することが知られておりイオン交換クロマトグラフィーを用いて植物から分離されていた。しかし、従来の方法ではAGPとAGを完全に分離することが困難であった。本年度の研究では、疎水クロマトグラフィーによってアラビアゴムからAGを除いたAGPを分画し、皮膚細胞に対する影響について検討を行った。
飽和食塩水に溶解したアラビアガムを疎水性担体に吸着させ、塩濃度を段階的に低くした溶液で溶出することでAGP分画物を得た。イオン交換クロマトグラフィーに比べ、疎水クロマトグラフィーはより効率的にAGPを分離できる可能性が示唆された。
次に、ヒト表皮角化細胞(HaCaT)と真皮線維芽細胞(HFB)へAGPおよびPGを添加し、遺伝子発現量およびヒアルロン酸(HA)産生量への影響について検討した。HFBへのAGP添加では、HA産生が高くなることが確認できた。HaCaTへのAGP添加では、HA合成酵素の遺伝子(HAS2)の発現増加およびHAの産生量が増加することを確認した。
よって、AGPは皮膚のHA量を増加させて皮膚水分量を改善する可能性が示唆され、これらの研究結果をファンクショナルフード学会に発表し、学会誌に投稿した。
動物由来プロテオグリカン(PG)に関する研究は、サメ頭部軟骨、シャケ氷頭、クジラ鼻軟骨、豚気管軟骨からPGを調製し、その構造の違いを検討した。水生動物由来のPGに結合しているグリコサミノグリカン(GAG)は、陸生動物由来PGに比べ硫酸化度が高い特徴を明らかにした。これらの結果を学会発表ならびに論文投稿の準備をしている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の研究目標は動植物のPGを精製し構造解析を行うことにある。植物由来PGは、アラビアガム由来のAGPに着目して精製を行った。イオン交換クロマトグラフィーと疎水クロマトグラフィーによる分画法を比較した。アラビアガム中の糖鎖であるアラビノガラクタンは、非常に粘性が高くタンパク質と結合しているAGPを分離することが難しい。疎水性クロマトで完全にAGとAGPの分画は出来なかったが、タンパク質部分に富んだ画分の分離ができた。分画したAGPを皮膚線維芽細胞および表皮角化細胞に添加し、ヒアルロン酸を始めとした細胞外マトリックス産生に及ぼす影響について検討した。表皮角化細胞に添加することでヒアルロン酸産生に影響を与える可能性を確認することができた。
動物由来PGは、サメ頭部軟骨、シャケ氷頭、豚気管軟骨、クジラ鼻軟骨を原料として抽出し、イオン交換クロマトグラフィーで分画した。アグリカンが主であり、その構成するグリコサミノグリカン(GAG)はコンドロイチン硫酸である。サメ由来PGのGAGおよびシャケ由来PGのGAGのグルコサミンの硫酸化部位の比率が似ていることが確認できた。豚およびクジラ由来PGのGAGのグルコサミンの4位が硫酸化されている糖が多いことを明らかにした。クジラが哺乳類であることから、GAGの硫酸化部位が豚由来のGAG組成に似ている可能性が考えられた。抗コンドロイチン硫酸抗体(C0S, C4S, C6S)を用いたウエスタンブロッティングの結果から反応性の違いを検討した。クジラ由来PGは、いずれの抗体にも反応した。サメ由来PGはC0S抗体に反応したが、他の抗体には反応しなかった。シャケ由来PGは、C4SおよびC6S抗体に反応した。グルコサミンの硫酸化の構成が似ているにもかかわらず、サメとシャケ由来PGに抗体に対する反応の違いがあることは興味深い結果であった。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、動物・植物由来のプロテオグリカン(PG)を精製し、その構造的特徴を解析した。植物PGは、アラビアゴムから調製したアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)の精製度を高めることを主軸に研究を進める。動物の細胞外マトリックスには、コラーゲン、エラスチンやプロテオグリカンが存在するように、植物の細胞外マトリックスとしてセルロース、ヘミセルロース、ペクチン、エクステンシンが存在する。そこで、ペクチンやエクステンシンからの糖タンパク質の精製を試みる。また、次年度は、皮膚細胞への添加実験を計画している。皮膚真皮線維芽細胞への動植物由来のPG添加実験では、細胞外マトリックスの中でもコラーゲンやヒアルロン酸産生能を中心に検討を行う。上皮角化細胞でのPG添加実験では、フィラグリン、アクアポリン、ヒアルロン酸などの保湿因子や抗菌ペプチド産生能への影響を検討する。皮膚細胞への添加効果が明らかになれば、化粧品原料としての可能性も高くなることから、PGおよびその分解物にも着目して研究を行う。また、動植物由来PGの構造の特徴を明らかにし、皮膚細胞への添加効果を指標としてPG分解物の調製方法も検討する。原料が安価な素材から、簡便な方法でPG分解物を得ることが出来れば、その用途として機能性食品としての利用にも広がる。
大量調整法が確立できれば、病態モデルを用いた研究に着手できる。植物PGの場合、共存する多糖部分を除く、もしくはタンパク質部分を優先的に分解・抽出することが重要になる。動物由来PGの場合、前処理方法としてエタノールを多用することが一般的であるが、この方法では安価な製品の製造が難しく、また安全性の担保が難しくなる。そこで、吸着レジンと塩化ナトリウムの濃度勾配に基づく分離方法を計画している。

Causes of Carryover

本年度の計画で細胞および抗体の使用回数が少なくて済んだ。次年度に試薬の高騰が予想されることから、その点を踏まえたこと、ならびに細胞の産生物の評価をELISAで行うのに使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Collagen Network Formation in In Vitro Models of Musculocontractural Ehlers Danlos Syndrome2023

    • Author(s)
      Ayana Hashimoto, Takuya Hirose, Kohei Hashimoto, Shuji Mizumoto, Yuko Nitahara-Kasahara, Shota Saka, Takahiro Yoshizawa, Takashi Okada, Shuhei Yamada, Tomoki Kosh, Takafumi Watanabe, Shinji Miyata, and Yoshihiro Nomura
    • Journal Title

      Genes

      Volume: 14 Pages: 308

    • DOI

      10.3390/genes14020308

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] アラビノガラクタン-プロテインの皮膚細胞への有用性2023

    • Author(s)
      那須さくら、笹木友美子、原真佐夫、渡部睦人、野村義宏
    • Organizer
      ファンクショナルフード学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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