2022 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of health function and the mode of action of dipeptides containing glutamic acid.
Project/Area Number |
22K05512
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00263963)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | グルタミン酸含有ペプチド / 抗アレルギー効果 / 抗炎症効果 / ジペプチド / アスパラギン酸含有ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、グルタミン酸を含むジペプチドに好塩基球細胞株に対する顆粒放出抑制による抗アレルギー効果があることが明らかになっている。本年度は、脱顆粒抑制効果以外の生理効果について検討した。リポ多糖で炎症誘導したマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞の炎症性サイトカイン(免疫タンパク質)の産生を指標としてグルタミン酸含有ジペプチドの抗炎症効果を検討した。その結果、評価した16種類のグルタミン酸含有ジペプチドには顕著な抗炎症効果は認められなかった。そこで、脱顆粒抑制効果においてアスパラギン酸とグルタミン酸からなるジペプチドに顕著な効果が認められたことから、アスパラギン酸に着目し、16種類のアスパラギン酸含有ジペプチドの抗炎症効果を検討した。その結果、アスパラギン酸とアルギニンのジペプチド(Asp-ArgおよびArg-Asp)、アスパラギン酸ジペプチド(Asp-Asp)およびヒスチジン(His)-Aspに炎症性サイトカインであるIL-6およびTNF-αの産生を顕著に抑制する効果が認められた。 次に、グルタミン酸およびヒスチジンを含有するジペプチドとして、His-GluおよびGlu-Hisのラット好塩基球細胞株RBL-2H3細胞に対する脱顆粒抑制効果を評価した。その結果、両ジペプチドに活性が認められ、C末端がGluであるHis-Gluにより強い比活性が確認された。次に、ポリGlu(分子量12,000以上)およびポリHis(分子量5,000から25,000)について活性評価した結果、いずれにも活性が認められ、特にポリHisは、非常に強い脱顆粒抑制活性を持つことが明らかになった。ヒスチジン自体にも弱いながらも有意な抑制効果が認められた。一方、代表的なHis含有ジペプチドであるカルノシンとアンセリンにはいずれも脱顆粒抑制効果は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、本年度はグルタミルジペプチドの脱顆粒抑制効果に加え、抗炎症効果に関する評価を実施し、抗炎症効果については、グルタミン酸よりもアスパラギン酸の方が抗炎症効果には重要であることを明らかにし、ペプチドの新たな機能性解明につながった。 一方、グルタミルジペプチドの脱顆粒抑制効果については、グルタミン酸とヒスチジンの組合せによるジペプチドに着目して検討した結果、C末端側にグルタミン酸があるHis-Gluに強い脱顆粒抑制効果を確認するとともに、ヒスチジンのポリマーが顕著な脱顆粒抑制効果を持つことが明らかになった。 これらの結果から、グルタミルジペプチドだけでなく、アスパラギン酸やヒスチジンを含有するペプチドの機能性を明らかにすることができた。本年度実施予定であったペプチドの機能性スクリーニングについては予定通り実行できたと考えており、研究は概ね順調に進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度については、脱顆粒抑制効果の強いグルタミルジペプチドを選択し、作用メカニズムの解析を行う。また、アレルギーモデルマウスに対するグルタミルジペプチドおよびその他の活性が強いペプチドの経口投与によるアレルギー症状改善効果を評価する。概ね当初予定通りの研究を推進する。 また、本研究成果の社会実装を目指し、タンパク質を豊富に含む食品のプロテアーゼ分解物の効果を評価したい。
|
Research Products
(1 results)