2022 Fiscal Year Research-status Report
皮膚への紫外線被曝が腸管など消化管に与える影響の遺伝子、タンパク質レベル解析
Project/Area Number |
22K05516
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
大石 祐一 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (00313073)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 皮膚 / 臓器間ネットワーク / 消化管 / 紫外線 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリックシンドロームには、様々なタンパク質、脂質が関与している。一方、皮膚は、光の影響を受ける器官の1つで、とくに紫外線が与える影響については、分子レベルで充分研究されている。しかし、紫外線照射によるメタボリックシンドローム関与因子への影響についての研究はほとんどなかった。研究代表者は、「紫外線被曝が、臓器間ネットワークを介して各臓器にどのような影響を与え、メタボリックシンドロームに関わっているのか」という学術的「問い」に対して、皮膚への紫外線被曝が肝臓や脂肪組織のホルモン、サイトカインなどのタンパク質、アミノ酸代謝に影響を与えることを明らかにした。しかし、消化管への紫外線の影響については明らかになっていない。そこで本研究では、遺伝子、タンパク質、低分子物質レベルでの解析を行い、皮膚の紫外線被曝が腸などの消化管にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とした。本年度は、次世代シークエンサーを用いて、皮膚への紫外線照射の有無で、皮膚、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)において変動する遺伝子群を見出すことを目指した。ヘアレスマウスに紫外線を1.6J/cm2照射したが、照射により上昇する皮膚炎症マーカーのmRNA量が充分に増加することがなく、紫外線が充分照射されていないと判断した。そこで、紫外線照射の照射法を改善すべく、数回の実験を行った。紫外線は照射量1.6J/㎝2で問題ないが、紫外線を照射するランプ、ランプの位置等を改善し、照射法は確立できた。しかし、時間がなく、本年度は次世代シークエンサーでの検討はできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヘアレスマウスに紫外線を1.6J/cm2照射後、照射により上昇する皮膚炎症マーカーのmRNA量が充分に増加することがなく、紫外線が充分照射されていないと判断した。紫外線照射法を確立すべく、数回の紫外線照射実験を行い、条件を確立することに時間がかかり、進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、昨年度の遅れを解消するために、皮膚へ紫外線照射したヘアレスマウスから皮膚、消化管(胃、小腸、小腸は十二指腸、空腸、回腸に3分割)を採取し、RNA抽出後、次世代シークエンサーに供し、消化管で変動する遺伝子群を見出す。そして、紫外線照射の影響による遺伝子量変動のメカニズムを解明するために、変動した遺伝子に関するタンパク質のリン酸化などの活性をウエスタンブロッティングで検討する。さらに、消化管の低分子物質の変動を検討すべく、メタボローム解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は充分な進捗ができなかったため、次年度使用額が生じた。令和5年度は、令和4年度の研究内容である「皮膚へ紫外線照射したヘアレスマウスから皮膚、消化管(胃、小腸、小腸は十二指腸、空腸、回腸に3分割)を採取し、RNA抽出後、次世代シークエンサーに供し、消化管で変動する遺伝子群を見出す」ことをまず行い、引き続き、令和5年度の予算で行う、「変動した遺伝子に関するタンパク質のリン酸化などの活性をウエスタンブロッティングで検討する。さらに、消化管の低分子物質の変動を検討すべく、メタボローム解析」を行う予定である。
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