2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者に多発する「難治性造血障害」と「血圧異常症」の発症機序の解明
Project/Area Number |
22K05549
|
Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
許斐 亜紀 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (40529658)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 克彦 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (10200883)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 亜鉛欠乏 / 造血障害 / 異常血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では『難治性造血障害』と『血圧異常症』の併発が重要な医療問題となっている。これまでに亜鉛欠乏により血中エリスロポエチン濃度、腎臓中エリスロポエチン発現量が低下すること、亜鉛欠乏時に高血圧症、鉄と亜鉛の同時欠乏で低血圧症を生じることを世界で初めて報告している。研究実施期間に『難治性造血障害』と『血圧異常症』の発生機序を明らかにし、最終的には新規治療法を開発することを目的としている。 2023年度は、腎臓(皮質・髄質)組織を用いて、血圧異常症に関係すると考えられる遺伝子(Nos3、Hmox1、Hmox2)のmRNA発現量に、中等度亜鉛欠乏と食餌摂取制限が与える影響を検討した。亜鉛欠乏時および食餌量低下時にはtotal RNA量自体が低下することをこれまでに報告している。そこで、得られたデータは対組織重量当たりで比較している。データはWelchのANOVAで解析し、事後テストとしてWelchのtテストを行った。有意水準は5%とした。収取期血圧はControl群とZD群に比べPF群が有意に低下していた。拡張期血圧はControl群に比べPF群が有意に低下、ZD群が有意に上昇していた。mRNA発現量の結果は、腎臓皮質および髄質中のNos3、Hmox1および腎臓髄質中のHmox2は、Control群とZD群の間に差がみられず、この2群に比べてPF群が有意に増加していた。腎臓皮質中のHmox2はControl群に比べZD群が増加する傾向があり、PF群で有意な増加がみられた。 収取期血圧および拡張期血圧で低血圧を生じたPF群で増加し、拡張期血圧で高血圧を生じたZD群では変化が見られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎臓と肺組織を測定に用いる予定であったが、試薬購入金額が当初の予定より増加したため、腎臓組織だけを用いて、3種類の遺伝子について検討することとなった。しかし、大変有用なデータが得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、造血障害および異常血圧に関連する遺伝子について、追加検討を行う。また、最終年度となるので、これまで得られたデータをまとめる。
|
Causes of Carryover |
試薬の購入額が当初の予定より高額となり、予定していた試薬のすべてを購入することができず、予算をすべて使いきることができなかった。次年度の予算と合算として予定の試薬を購入し、予定していた研究計画を実施する。
|