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2022 Fiscal Year Research-status Report

初期生育におけるヘテロシス(雑種強勢)の発現機構の解明と育種利用

Research Project

Project/Area Number 22K05569
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

北崎 一義  北海道大学, 農学研究院, 助教 (60532463)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松平 洋明  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (90549247)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsヘテロシス / テンサイ / 初期生育 / 収量 / 遺伝距離
Outline of Annual Research Achievements

6組の組み合わせの親系統とそのF1系統のテンサイを供試し、初期生育のヘテロシスの発現機構に関する研究を行った。まず、栽培期間中の成長の推移を詳細に調査するため、葉面積を非破壊で測定できる方法を開発した。供試材料を水耕栽培し、葉面積を個体ごとに毎日調査した。系統間および組み合わせ間で比較したところ、ヘテロシスの程度の違いは発芽後15日頃にはほぼ決まっていることや、ほとんどの組み合わせでF1は親よりも相対成長速度が速いことが明らかとなった。
同材料を圃場で栽培し、中期生育、収穫期生育および収量を調査した。系統ごとに乾物重量を求め栽培条件間で比較したところ、水耕栽培による初期生育、中期生育および収穫期生育間で有意な高い相関が見つかった。さらに組み合わせによるヘテロシスの程度にも高い相関が認められた。一方、収量との相関はこれらと比べて低かった。本試験は、収量調査区は慣行法で、それ以外は隣接個体間で干渉しないように株間を広くした。このことから、慣行法による収量には密植適性や収穫部位への乾物分配などの成長以外の要因が寄与していることが示唆された。
屋内水耕栽培装置を増設し、供試系統を追加した合計19の組み合わせを用いて、ヘテロシスの程度を決定する遺伝要因について研究を行った。一部の供試系統は新たに全ゲノムシーケンスを行い、塩基多型解析によって供試系統間の遺伝距離を算出した。組み合わせによる初期生育のヘテロシスの程度の差異と遺伝距離を比較したところ、弱い相関が認められた。先行研究でテンサイでは両親の近縁係数とヘテロシスの程度に強い負の相関が報告されているが、完全には一致しなかった。一方、この相関関係から著しく逸脱した組み合わせも見つかったことから、ヘテロシスに寄与率が高いゲノム領域が存在することが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和4年度は非破壊測定方法の確立と屋内水耕栽培装置の増設が大きな課題で、これらの目標を達成できたことは今後の研究を行う上で非常に良い。また、想定していた実験も予定通り行うことができ、多くの結果を得ることができた。特に、非破壊測定により得られた結果は、従来の測定方法では知り得なかったものである。これらの結果を深く研究していけば、想定以上の成果が得られる可能性がある。圃場栽培試験は二年目で、徹底した栽培管理で病害を防ぎ、一年目とほとんど同じ結果を得ることができたことも計画通り実施する上で非常に大きい。
一方、多数の組み合わせを追加し初期生育を評価する実験では、先行研究の結論と完全には一致しなかった。その原因として、栽培結果の再現性の低さが考えられる。つまり、供試系統が多数になると、栽培環境の都合上反復個体が限られてしまうため、同一系統内の個体のバラツキが大きく結果に影響した。この点については慎重に進める必要がある。

Strategy for Future Research Activity

当初の計画を一部改変し進めていく。非破壊測定の結果は計画当初の仮説とは異なるものだったので、光合成測定や遺伝子発現解析などの実験を追加して解析を進める。圃場試験は次年度の三年目までの結果をまとめ、報告する。
多数の組み合わせを用いた初期生育の試験は、栽培結果の再現性を確固たるものにするため栽培環境の改善や複数回の栽培試験を試みる。また、組み合わせの良さが顕著であった供試系統については、その原因を明らかにするため、特にゲノムに注視して解析を進める。

Causes of Carryover

植物栽培用の物品費について、生育状況に合わせポットや農薬に使用しなかった余剰分。
次年度の栽培で栽培個体数の増加に対して利用する。

  • Research Products

    (8 results)

All 2022

All Presentation (8 results)

  • [Presentation] テンサイの異なる生育期間および環境におけるヘテロシスの程度の違いとそれらの関連性2022

    • Author(s)
      岩堀遼馬、松平洋明、大久保めぐみ、久保友彦、北崎一義
    • Organizer
      日本育種学会第141回講演会
  • [Presentation] 地上部の非破壊計測法を用いたテンサイ初期生育におけるヘテロシス発現機構の解析2022

    • Author(s)
      岩堀遼馬、廣木幸太郎、小川紘生、大久保めぐみ、松平洋明、北崎一義
    • Organizer
      日本育種学会第142回講演会
  • [Presentation] ガーデンビート栽培化過程における浸透交雑の可能性について2022

    • Author(s)
      早川諒、鹿俣陽平、谷口英吾、松平洋明、黒田洋輔、北崎一義、久保友彦
    • Organizer
      日本育種学会第142回講演会
  • [Presentation] テンサイ G 型細胞質雄性不稔における葯の内部構造解析2022

    • Author(s)
      桂直幸、伊藤栞奈、松平洋明、黒田洋輔、北崎一義、久保友彦
    • Organizer
      日本育種学会第142回講演会
  • [Presentation] pHストレス環境下のテンサイ初期生育におけるヘテロシス発現機構の特徴付け2022

    • Author(s)
      小川紘生、岩堀遼馬、廣木幸太郎、松平洋明、北崎一義
    • Organizer
      日本育種学会・日本作物学会 北海道談話会 令和 4 年度 年次講演会
  • [Presentation] テンサイミトコンドリア次世代解析におけるバリアントアレルの起源2022

    • Author(s)
      谷口英吾、佐藤宏亮、大久保めぐみ、松平洋明、黒田洋輔、北崎一義、久保友彦
    • Organizer
      日本育種学会・日本作物学会 北海道談話会 令和 4 年度 年次講演会
  • [Presentation] テンサイ日本育成系統のゲノム情報を用いた農業形質のゲノムワイド関連解析 (GWAS) の試み2022

    • Author(s)
      北崎一義、廣木幸太郎、成廣翼、松平洋明、久保友彦、黒田洋輔
    • Organizer
      日本育種学会第143回講演会
  • [Presentation] テンサイミトコンドリア次世代解析で出現する個体内多型の起源2022

    • Author(s)
      谷口英吾、佐藤宏亮、大久保めぐみ、松平洋明、黒田洋輔、北崎一義、久保友彦
    • Organizer
      日本育種学会第143回講演会

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Published: 2023-12-25  

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