2023 Fiscal Year Research-status Report
コムギのリン吸収能向上に向けた根毛長の育種基盤確立
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22K05580
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
大西 一光 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50526704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 浩一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, グループ長 (80414811)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コムギ / 根毛 / リン |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道品種「はるきらり」とスペルトコムギ系統(KU-1025)の交雑に由来する戻し交雑自殖系統(BILs)において、根毛長に関するQTL解析を行ってきたが、効果の大きいQTLは2A染色体上のQRhl.obu-2Aのみであった(Okano et al. 2020)。そこで昨年度、QRhl.obu-2A以外の新規QTLの探索を行うため、マーカー数と使用系統数を拡大し、次世代シーケンサ―を用いたアンプリコンシーケンス法(Ishikawa et al. 2018)により連鎖地図を再構築した。本年度、BILs187系統を用いてQTL解析を行った結果、5A染色体上長腕に根毛を長く、根長を短くする効果の大きいQTLを同定することができた。5A染色体長腕ではすでに準同質遺伝子系が育成されていたことから、QTLの効果を確認することができた。 スペルトコムギ系統以外の遺伝資源を用いて新規QTLを探索するため、「はるきらり」とマッハコムギ系統(KU-1816)の交雑に由来するBILsについてもアンプリコンシーケンスにより連鎖地図を構築した。 根毛長QTL(QRhl.obu-2A)に関して、スペルトコムギ(KU-1025)型対立遺伝子を「はるきらり」に導入した準同質遺伝子系統(NIL)を用いて、3種のリン施肥条件で栽培試験を行った。2023年度は2022年度に比べ多収を示し、収量性に系統間の差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
QRhl.obu-2Aの候補領域の絞り込みを行ったが、水耕栽培による根毛の形質評価が安定しなかったことから、再度水耕栽培の条件の検討を行った。一方、新規QTLについては、他の研究目的で育成していたNILの導入染色体領域に含まれていたため、効果の確認まで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
5A染色体に根毛長・根長に関わる新規のQTLを同定でき、NILにおいても安定した表現型を示すことが確認できたことから、ファインマッピングについてはQRhl.obu-2Aおよび新規5A染色体QTLの両方について実施し、表現型の安定性とマーカー作出の成否を考慮し、優先的に進めるターゲットを決める。
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Causes of Carryover |
極少額の余剰金が生じたが、次年度の消耗品として使用する。
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