2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K05583
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
児玉 浩明 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (70302536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 平 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 講師 (90720889)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 耐塩性 / キメラ植物 / 遺伝子組換え植物 / SOS1遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
マングローブ植物は非常に高い耐塩性を示す。マングローブ植物の中でも特に海側に生息するマヤプシキからは、プロトン-ナトリウム交換輸送体をコードする2種類のパラログSOS1遺伝子が単離されている。本研究ではこのSOS1遺伝子および、耐塩性向上に効果があることがしられているグリシンベタイン合成酵素である、コリンオキシダーゼ遺伝子を導入した形質転換植物を作出する。またえられた組換え植物を台木とし、穂木に野生型の植物を接ぎ木したキメラ植物を作出することで、穂木の耐塩性がどのように変化するのかを明らかにする。2022年度では、2種類のSOS1遺伝子を発現する毛状根をタバコから派生させたのち、野生株のタバコの根を削除することで、毛状根を主たる根として有する、接ぎ木と同様なキメラ植物を作出できることを確認した。このキメラ植物の耐塩性を調べることで、根におけるSOS1遺伝子の発現が地上部にどのような影響をあたえるのか、明らかにできると考えられる。予備的に、キメラ植物に100 mM NaCl溶液を与えたところ、野生型の毛状根を有するキメラ植物と比較して、SOS1遺伝子を発現するキメラ植物では地上部の葉のNaCl含量が変化し、葉の形態にも影響が現れることが観察された。さらに、マヤプシキから単離された2種類のSOS1遺伝子を導入したキメラ植物間で表現型に差が生じた。また、コリンオキシダーゼ遺伝子については、発現コンストラクトを作成した。2023年度においてコリンオキシダーゼ遺伝子を導入した遺伝子組換え植物を作出する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マヤプシキから単離されたSOS1遺伝子を発現する毛状根を有する、キメラ植物の作出に成功した。当該植物の耐塩性については現在評価中である。また、コリンオキシダーゼ遺伝子の発現コンストラクトを作成できた。こちらは当初の予定では2022年度中には遺伝子組換え植物の作出に用いる予定であったが、少し作成に時間がかかったため、2023年度に植物に導入する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
SOS1を根において発現するキメラ植物については作出可能であることが明らかになった。一方で、アラビドプシスとタバコにSOS1遺伝子を導入した形質転換植物は、組換え頻度が低いのか、まだ得られていない。今後も組換え植物の作出が難しい場合には、毛状根を用いたキメラ植物で評価を行う予定である。
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