2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K05589
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
徳永 浩樹 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 任期付研究員 (30768479)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | キャッサバ / 熱帯作物 / 花成 / 分枝 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯・亜熱帯作物のキャッサバの分枝性は育種上重要形質の一つであり、生産性や栽培作業の効率性、種茎の品質に直結する要素である。しかし、優良な分枝形 質をもつ系統は稀にしか開花しない性質を併せ持つ為、交配育種素材として扱いが難しい。本研究ではキャッサバの分枝を制御する育種技術の確立を目指す。
研究内容1) FT遺伝子の花成関連遺伝子の改変および機能解析。これまでの研究からFT遺伝子のキャッサバオーソログであるMeFT1/2遺伝子が花成や分枝の制御に重要であることが分かってきた。そこでゲノム編集技術でMeFT1/2が機能欠損したキャッサバを作出した。令和4 /5年度は、作出したモデルキャッサバであるTMS60444系統のMeFT1/2二重機能欠損体のベトナム圃場で検証した。結果、MeFT1/2を機能欠損させると花器官や分枝が本来誘導される栽培条件下においても誘導が大幅に抑制されることが分かった。
研究内容2) キャッサバの分枝性と成長相との関係を調べるため、成長相に関与する遺伝子の情報整備やメカニズムの理解を進める。キャッサバ TMS60444系統を温室で栽培して、発芽後1, 3, 5ヶ月に葉のサンプリングを行った。MeFT1/2遺伝子やmiR156とmiR172 の定量解析を行い予備的な結果であるが、成長に伴いMeFT2遺伝子とmiR172 の発現が高まることが分かった。 一方でMeFT1は定量限界以下およびmiR156は有意に発現変化しなかった。圃場における形質調査と遺伝子発現解析を令和6年度に実施する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度途中に研究代表者が所属機関を異動したことに伴い、共同研究契約書の変更や材料移転、実験環境のセットアップに時間を要した。研究材料に関してはsMTAを締結に時間がかかり、研究材料のキャッサバ系統の受け取りが令和5年4月になってしまった為、令和5年度は植物材料の増殖から始める必要があった。また、ベトナムの研究機関と新規の共同研究契約の締結が令和5年6月になってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度提出した計画から概ね変更はないが、下記の追加点がある 計画2-2. キャッサバの成長相の転換におけるマイクロ RNA の役割の検証について。ベトナム農業遺伝学研究所と共同で遺伝資源の中から分枝性の特徴を指標に選抜した20系統について、ベトナムの圃場で憩室調査及び葉のサンプリングを行う計画であったが、担当していた研究者が留学することになり、本内容を進めるのは難しくなった。代わりに、日本での圃場調査(沖縄県石垣市)を中心に解析に取り組む。
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Causes of Carryover |
令和4年10月に研究代表者が所属機関を異動した。研究材料であるキャッサバ系統の移転のためのMTAの締結に時間がかかり、異動後に計画どおりに進めることが できなかった。遅れている研究計画や海外調査を進めるために未使用額を請求する。
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