2022 Fiscal Year Research-status Report
Bradyrhizobium symbiosis signaling in the rice rhizosphere
Project/Area Number |
22K05596
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
安田 美智子 (登坂美智子) 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (30425649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 明希子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特別研究員 (00718174)
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40379285)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イネ / Bradyrhizobium / NLP / 窒素固定 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田で栽培したイネの根には窒素固定能を有するBradyrhizobium属細菌が多く生息していることを16S rRNAの細菌叢解析により明らかにした。また、イネの硝酸応答シグナルの中心的役割を担うNLP遺伝子のTos挿入変異体では、野生株イネに比べてBradyrhizboium属細菌の存在比が増加していた。この結果から、イネが環境中の窒素条件を感知し、NLPを介して根圏の窒素固定菌との共生を制御している可能性が考えられたが、NLPを介した窒素獲得メカニズムは不明であった。また、これまでに用いていたTos挿入変異体には複数のTosが挿入していたことから、NLP遺伝子だけ変異させた材料が必要であった。そこで本研究では、イネに共生するBradyrhizobium属細菌の共生シグナルを解明することを目的とし、本年度は実験材料となるCRISPR/Cas9法を用いたイネNLP変異体の作成を試みた。NLP遺伝子に対するCRISPR/Cas9用のベクターを構築して、アグロバクテリウム法によりイネに導入し、現在までにイネNLP変異体を獲得した。一部の変異体はまだ途中段階であることから、変異体の種子がある程度揃った段階で、水田の土を用いたイネ根圏微生物叢の解析、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析を実施し、野生株とNLP変異体を比較し、NLPにより制御される根圏微生物の動向を網羅的に解析し、イネの硝酸シグナルを介する根圏微生物の制御機構を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はCRISPR/Cas9用のコンストラクト作成、イネへのアグロバクテリウム法による変異体の作成を目標に実験を行なってきた。現在までに一部のイネ変異体を取得していることから、現在までの進捗状況は概ね順調であると思われる。しかし、一部のイネの変異体遺伝子変異の影響のためか種子が取れにくい状況である。そのため、変異体がすべて整った段階で次のステップに行くことを予定していたが、できた変異体から順に実験を進めていくこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは共同研究者の協力のもと順調にNLP変異体を取得することができたが、一部のNLP変異体は不稔になる傾向が強いため、取れた数少ない種子を増やす必要がある。十分量の種子を獲得した上で次の網羅的な解析に進むことができる。今後はホモの種子を増やし、水田土壌を用いた微生物叢解析、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析を実施している予定である。
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