2022 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental studies on cultivation management techniques and improvement of fiber quality in Itobasho, a traditional industrial crop
Project/Area Number |
22K05600
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上原 直子 琉球大学, 研究推進機構 共創拠点運営部門, ポスドク研究員 (90899197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 竜一 琉球大学, 農学部, 准教授 (30560536)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イトバショウ / 工芸作物 / 繊維作物 / 繊維品質 / 炭素動態 / シンク・ソース |
Outline of Annual Research Achievements |
1.芭蕉布品質となる質の良い繊維収率を増加させるための施肥体系 施肥区は施肥を行わない無施肥区,春施肥として1株あたり窒素・リン・カリウムを各20g行う20区,年間の施肥量は1株あたり窒素・リン・カリウム20gだが,春と秋に10gずつ施用した10-10区,および春と秋に20gずつ施用した20-20区の4処理区を設けた.春施肥を2022年4月23日,秋施肥を9月30日に行い,慣行農法に従い,葉を切除する「葉打ち」処理を6月23日と8月15日に行った.生育調査は6月23日,8月15日,9月30日,11月15日に行い,偽茎径と出葉数を計測した.その結果,偽茎径は無処理区,20区,10-10区,20-20区の順で,8.1±0.2,8.2±0.2,8.4±0.4,8.8±0.2cmであった.また出葉数も無処理区,20区,10-10区,20-20区の順で3.1±0.3,3.3±0.3,3.8±0.5,4.1±0.5枚となり,偽茎径および出葉数ともに施肥量が多いと偽茎径は大きい傾向にあり,追肥としての秋施肥が効果的であることが分かった.
2.「葉打ち」「芯止め」の有用性の検証と作業時期および回数の最適化 施肥は1株あたり窒素・リン・カリウムを春と秋に10gずつ施用した.ソース器官としての葉身・シンク器官としての偽茎,およびソース器官としての偽茎・シンク器官としての葉身が偽茎内の炭素含有量に及ぼす影響を調査するために,葉打ちを行わない無処理区と葉打ちを1回行う葉打ち区を設けた.8月9日に葉打ち前のサンプリングを行い,8月10日に葉打ちを行った.葉打ちから約2か月後の10月6日に偽茎内の炭水化物を測定するためのサンプリングを行った.葉打ち処理は偽茎径には影響は生じなかったが,出葉数は無処理区で葉打ち後6.9±0.5枚だったのに対し,葉打ち区は4.2±0.4枚であり,出葉数に大きく影響した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
秋施肥および葉打ち後のサンプリングまでは概ね順調だったが,その後,研究代表である私が家庭の事情(介護)により出勤・研究可能な時間の減少により,冬季の採繊・サンプリングを行うことができなかった.また,サンプリングした偽茎の炭水化物含量測定のための試料の前処理および測定ができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.芭蕉布品質となる質の良い繊維収率を増加させるための施肥体系 本年度採繊が行えなかったため,次年度冬季に採繊を行う.採繊した繊維を用いて,繊維の成分分析および物性評価を行う.
2.「葉打ち」「芯止め」の有用性の検証と作業時期および回数の最適化 本年度にサンプリングを行った偽茎の炭水化物含有量の測定を行い,葉打ちによって,偽茎がシンク器官からソース器官になったこと,またそのことに伴い構造性炭水化物含量へ及ぼす影響について解析を進める. さらに,13C付与することにより炭水化物転流・再転流の動態を明らかにするための実験を,台風の影響や,株の成熟にともなう開花によってシンク・ソース器官が変転することの影響を避けるために,栽培圃場より吸芽を採取してポット栽培を行い供試株とすることで,研究遂行上の支障になりそうな環境要因を排除する.
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Causes of Carryover |
2022年度は12月以降,家庭の事情(介護)により研究に従事する時間が取れなかったため,炭水化物含量の測定や繊維成分の分析のための試薬の購入や測定費用が未使用のため,2023年度以降に使用予定である. また,大学のある西原町からイトバショウ圃場のある大宜味村喜如嘉に頻繁にいくと交通費が膨大となるため,詳細な観察と生育調査を要すと予想される13C付与をする供試株は,畑に存在する株ではなく,大学内でポット栽培を行い供試することで,交通費を抑える.
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