2023 Fiscal Year Research-status Report
肉質・成熟期が異なるモモの樹上における果実成熟様相の比較とその制御機構の解明
Project/Area Number |
22K05614
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河井 崇 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (90721134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 文夫 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (60294443)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 果肉質 / 品種間差 / 遺伝子型 / 共鳴周波数 / 後代 / 溶質 / 不溶質 / 硬肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多様な肉質・成熟期を示すモモ品種や交雑後代を用いて,果肉特性の非破壊評価,組織学的・生理学的解析,次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を組み合わせることで,特に「樹上での果実成熟」に着目してその遺伝的・生理的な制御機構を明らかにする.本年度は以下の内容を実施した. 1.昨年度に引き続き,肉質・成熟期が異なる6品種(‘清水白桃’,‘桃水’,‘大寿蜜桃’,‘さくら’,‘おどろき’,‘もちづき’)を供試し,果実発育期間中の硬度および音響プロファイルの変化を継時的に調査した.果実発育の早晩に多少の年時間差がみられたものの,各品種の果実成熟様相に関しておおむね昨年と同様の傾向が確認された. 2.肉質・成熟期が分離する‘清水白桃’ב冬桃がたり’F1後代を供試し,モモの果肉質の制御に関わるM遺伝子座および成熟期の制御に関わるNAC遺伝子の遺伝子型でタイプ分けして果実軟化特性を比較した.成熟期の早晩によらずM遺伝子座の遺伝子型により軟化程度に差がみられ,前年度の結果を支持する結果が得られた. 3.異なるモモ3品種を供試し,測量により取得した果実の位置情報と果実品質の相関解析を行うことで,着果位置と果実品質・果実成熟の関係性の品種間差を確認した.品種によって傾向に違いがみられたものの,全体的には前年度と同様,Z(高さ)と果実品質・果実成熟に比較的強い相関が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画のとおり,肉質・成熟期が異なるモモ品種を用いて樹上における軟化様相の年時間差を確認するとともに,昨年度に引き続き音響測定による非破壊評価の可能性について検討できた.また,肉質・成熟期の制御に関わる遺伝子(座)に着目したF1後代の果実軟化特性の比較や,着果位置と果実品質・果実成熟の関係性の品種間差についても調査を進めることができた.これらの理由から,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は果肉細胞の顕微鏡観察などの組織学的解析,およびF1後代における果実軟化特性の遺伝解析を進める予定である.
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Causes of Carryover |
果肉細胞の顕微鏡観察のサンプル準備や,遺伝解析のためのジェノタイプデータの取得を全ての品種・系統で終えることができず,次年度に実施するよう計画変更したため,本年度の助成金の一部を繰り越した.
「果肉細胞の顕微鏡観察」,「F1後代のGWAS解析」などに必要な試薬類・器具類などの消耗品費,その他解析費に使用する予定である.
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