2022 Fiscal Year Research-status Report
ケミカルスクリーニングを用いた切り花品質保持に有効な化合物の探索
Project/Area Number |
22K05619
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
東 未来 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (80783414)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダリア / 切り花 / 品質保持 / 化合物 / 小花 |
Outline of Annual Research Achievements |
消費者が切り花を購入するにあたり,“花の日持ちが長いこと”は重視される形質の一つである.花の日持ち(観賞期間)を延長するためには,開花の速度を緩やかにし,できるだけ多くの花弁(小花)を開花させ,さらに,老化(萎凋や落弁)を抑制することが重要である.これまでに着目されてこなかった化合物の中には,このような現象に影響を及ぼす化合物が存在すると期待される.本研究では,ケミカルスクリーニングによって日持ちを延長するための化合物を探索することを目的とした.ケミカルライブラリーは様々な化合物のライブラリーであるが,1種類あたりの化合物の量が少量で,非常に高価である.化合物の使用量を少なくするため,切り花で日持ち日数を評価するのではなく,小花で日持ち日数を評価する,ダリア小花を用いた日持ち検定法を確立した. 日持ち性の異なる3品種のダリア‘かまくら’,‘ポートライトペアビューティー’,‘ミッチャン’を用いた小花日持ち検定を行い,開花後の小花を用いた場合には萎凋に要する日数,未開花の小花を用いた場合には開花に要する日数を評価することが可能であることを明らかにした.‘ミッチャン’等の花色がはっきりした品種では,退色や着色の効果も評価することが可能であった.また,試験管のサイズを小さくすることにより,日持ち検定に用いる液量を4mLまでスケールダウンできることを明らかにした.すでに切り花の日持ち検定において,開花促進効果が明らかとなっているグルコース等の糖質,花弁の萎凋の抑制効果が明らかになっているBAや抗菌剤の効果を検証したところ,切り花で化合物の効果を検証するときよりも,小花を用いた日持ち検定法で低濃度の化合物で,その効果が得られることを明らかにした.次年度は,化合物使用量をスケールダウンした小花日持ち検定法を用い,ケミカルスクリーニングを行い,日持ちの延長に有効な化合物の探索を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,花弁の萎凋の抑制あるいは開花の促進に効果的な新規化合物を探索することを目的とし,ダリアの小花を用いた日持ち検定法を用いたケミカルスクリーニングを遂行する予定であった.しかしながら,化合物の価格高騰等の理由により,ケミカルライブラリーの化合物量が確保できず,十分な検定を行うことができないと判断した.そこで,次年度に予算を繰越し,ケミカルスクリーニングを実行するように計画を変更したため,当初予定よりやや遅れている. しかしながら,本年度はより効率的にケミカルスクリーニングを行うための予備試験を行い,溶液量のさらなるスケールダウンを試みた.試験は日持ち性の異なる3品種のダリア‘かまくら’,‘ポートライトペアビューティー’,‘ミッチャン’で行い,全ての品種で試験管サイズをさらに小さくすることにより,これまでに使用していた溶液量よりも少ない4mL程度で,日持ち検定を行うことができることを明らかにした.小花日持ち検定法に用いる溶液量のスケールダウンに成功したため,次年度に予定しているケミカルスクリーニングでは,当初の予定よりも少ない量の化合物で実施することが可能である.また,ケミカルスクリーニングに用いるためのダリア品種として,日持ち日数,花色,小花の大きさの観点から,適した品種の選抜を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の試験により,試験管サイズの調整を行うことで,溶液量をスケールダウンして小花日持ち検定法を行うことを可能とした.また,切り花での日持ち試験よりも,低濃度の化合物でその化合物の効果を検証することができた.今後は,天然物の化合物を主としたケミカルライブラリーを用い,ダリア小花日持ち検定法によるケミカルスクリーニングを行い,萎凋の抑制あるいは開花の促進に効果がある新規な化合物の探索を試みる.萎凋の抑制効果を検証する際には,日持ち日数の短いダリア品種の一番外側あるいは4列目の小花を用いて,日持ちの検定を行う予定である.開花の促進効果を検証する際には,花色が明瞭な品種の外側から8列目の未開花の小花を用いて、日持ちの検定を行う予定である.ケミカルスクリーニングによって,萎凋の抑制あるいは開花の促進に効果的な候補化合物が得られた後は,処理濃度を検証しつつ,切り花のダリアにおいても同様の効果が得られるかどうかを検証する.また,その化合物がなぜ花の日持ち性に影響を及ぼすのか,そのメカニズムを明らかにするための解析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
初年度はケミカルスクリーニングを実施する予定でいたが,世界情勢により化合物の価格の高騰と納品時期に影響が出た.初年度分の使用額では,十分なケミカルライブラリーの購入が難しいと判断し,初年度分と次年度分を合算した金額で,ケミカルライブラリーを購入し,次年度に実験を遂行した方が効率的であると考えた.そのため,次年度使用額が生じた.生じた次年度使用額はケミカルライブラリーの購入に充て,ケミカルスクリーニングを遂行する予定である.
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