2022 Fiscal Year Research-status Report
ニホンナシ「凜夏」の低温障害発生および高温処理による抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K05639
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
羽山 裕子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (40355384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川東 広幸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主席研究員 (80373249)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 貯蔵 / 低温障害 / 高温処理 / ニホンナシ |
Outline of Annual Research Achievements |
暖地でも花芽枯死が発生しにくく安定生産が可能なニホンナシ「凜夏」では、果実を低温貯蔵すると、数日で果肉に維管束褐変を生じることが知られている。このような短期間の低温障害の発生はニホンナシの他品種では一般に確認されておらず、詳細は明らかではない。これまでに、維管束褐変の発生は、低温貯蔵前の高温処理により顕著に抑制されることを明らかにした。本研究では、低温貯蔵で果肉に発生する維管束褐変障害の発生メカニズムおよび低温貯蔵前に行う高温処理により障害発生が抑制されるメカニズムを明らかにするため、組織観察や分子生物学的手法を用いて取り組む。 2022年度は、低温貯蔵、および高温処理後低温貯蔵した「凜夏」の果肉サンプルを用い、組織観察およびRNAseq解析を行った。組織観察では、維管束褐変障害を生じた果肉において維管束およびその周辺の細胞が褐変しており、さらに褐変した細胞が周囲に散在している様子が観察された。また褐変部位はポリフェノールおよびポリフェノールオキシダーゼ活性染色においても強く染色されることを確認した。RNAseq解析では、低温貯蔵前の高温処理の有無により低温貯蔵中の遺伝子発現が大きく異なることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「凜夏」の組織観察およびRNAseq解析により、低温貯蔵中の維管束褐変発生過程および高温処理による影響について新たな知見が得られており、研究は順調に進んでいる。 また、低温障害を発生しない「豊水」についてRNAseq解析用のサンプリングを行い、準備を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「凜夏」のRNAseqの結果について、詳細な解析を進めるとともに、低温障害を発生しない「豊水」を用い、2022年度と同様にRNAseq解析を行い、品種間差から「凜夏」に発生する維管束褐変障害の発生要因となる遺伝子群の絞り込みを行う。
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Causes of Carryover |
試薬等物品費が当初予定より安価に購入できたため残額が生じた。予算残額は、次年度の研究推進及びその公表を加速化するために使用する予定。
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