2023 Fiscal Year Research-status Report
ビフィズス菌とキサントモナス属細菌に共通して存在する新規糖鎖分解酵素郡の機能解析
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22K05655
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 正幸 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (90404475)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Xanthomonas / 糖鎖分解酵素 / 病原性(力) |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、キュウリ褐斑細菌病菌(Xcu)の保持する3つ目の酵素となるXcuHypAAの組み換えタンパク質発現と機能解析を行った。これまでの酵素XcuHypBA1およびBA2に関しては、大腸菌BL21(DE3)を用いた発現が可能であったが、XcuHypAAは、Origami、ShuffleT7などの系統を用いても発現させることができなかった。そこで、グラム陽性細菌のBrevibacillus brevisを用いて発現させたところ、発現に成功した。分泌量が微量であったことから、ウエスタン解析により、目的タンパク質であることを確認した。発現タンパク質を用い、各種基質(Ara-Hyp、Ara2-Hyp、Ara3-Hyp、Ara4-Hyp)に対する特異性を見たところ、XcuHypAAは、Ara4-Hypのアラビノースが1箇所α結合している部位を切断することが明らかっとなった。また、XcuHypAA遺伝子の発現量を調査したところ、病原性モードへ移行させる培地(hrp誘導培地)中で、発現量が促進されることも判明した。以上の結果とこれまでの結果から、Xcu由来の4酵素は、以下のような流れで、病害抵抗性に関わるエクステンシン上のアラビノオリゴ糖鎖を分解すると考えれた。まず、基質Ara4-Hypに対し、今回の実験で機能の明らかになったXcuHypAAが、α結合した1つのアラビノースを遊離することで、Ara3-Hypを生成する。次に、このAra3-Hypに対し、XcuHypBA2が作用することで、β-Ara2を遊離し、Ara-Hypを生成する。最後に、このAra-Hypに対し、XcuHypBA1-1とBA1-2が作用することで、アラビノースをヒドロキシプロリンから切り離す。このように、4つの酵素が協調的に働くことで、エクステンシン上のアラビノオリゴ糖鎖を全て除去することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一の目標にしていた、キュウリ褐斑細菌病菌が保持する新規のアラビノオリゴ糖鎖分解酵素群(XcuHypAA、XcuHypBA1-1、XcuHypBA1-2、XcuHypBA2)の機能解析が終了し、これら4つの酵素が協調的に作用することで、エクステンシン上の糖鎖を分解しているこを解明できた。しかし、遺伝子破壊株作出で、hrpX遺伝子の破壊株作出には至ったが、4酵素の遺伝子については、現在進めいるところである。破壊用ベクターの構築までは進んでいるため、近日中に作出できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、4酵素の遺伝子破壊株を早急に作出し、キュウリに対する感染性にどのような影響が現れるかを調査する。接種用キュウリには、感受性品種(千夏)と非感受性品種(極光607)を用いることで、酵素群による抵抗性打破についてより詳しく調べる。次に、キュウリだけでなく、タバコを用い、過敏感反応についても調べる。特に、XcuHypBA2により遊離されるβ-Ara2の二糖が、抵抗性誘導のエリシターになりえる可能性も探る。これらの実験を進めることで、Xanthomonas属細菌における、新規の抵抗性打破システムの解明を進めたい。
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