2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of genomic composition and novel gene associated with seed dormancy in weedy rice
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22K05665
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
今泉 智通 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 上級研究員 (10509235)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 種子休眠性 / 種内変異 / 雑草 / 雑草イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、実験1.雑草イネにおける新規休眠性遺伝子の特定、実験2.既知の休眠性遺伝子にもとづくゲノム構成の決定を実施する計画としている。実験1で実施予定のバッククロスによる試験材料の作出は、別課題で作成中の雑草イネ染色体断片置換系統群が利用できる見通しがたったため、今年度は実験2を中心に研究を進め、既知の休眠性遺伝子情報ををもとに休眠性におけるゲノム構成を明らかにした。イネの遺伝子情報データベース(Oryzabase)において、Gene OntologyおよびTrait Ontologyでdormancyおよびgerminationとアノテーションされた遺伝子を休眠性関連遺伝子(131遺伝子)をとした。11県から収集した雑草イネ49系統、国内外の近代品種・在来品種・雑草イネ95系統を供試し、休眠性関連遺伝子および全ゲノム塩基配列に対して、主成分分析およびクラスター分析により類縁関係や集団構造を明らかにしたところ、種子休眠性の深い雑草イネ系統は共通のゲノム構成をもち、休眠性の浅い系統とは異なることが明らかになった。また、EHH分析を用いて休眠性遺伝子を含むゲノム領域における自然選択を検出し、種子休眠性における種内変異は自然選択により形成されることを明らかにした。具体的には、栽培イネと雑草イネの交雑を起源とする雑草イネは、全ゲノム塩基配列では交雑親の雑草イネおよび栽培イネ由来のゲノム領域を同程度ずつ持つが、休眠性関連遺伝子の大半は雑草イネ由来の対立遺伝子を有しており、その多くは自然選択により維持されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既知の休眠性遺伝子情報をもとに休眠性におけるゲノム構成を明らかにするとともに種子休眠性の種内変異との関連を解析するなど計画どおり研究課題を進め、これらの成果を論文発表している。また、本研究課題を発展させるためINRAEとの共同研究を開始し、種内変異をもたらす遺伝的背景の一般化を目指す共同研究が科研費国際共同研究強化(A)に採択されるなど、当初の計画以上に本研究課題が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、種子休眠性を制御する遺伝子に関して、雑草イネ共通の候補領域と系統特有の候補領域の検出を進める。
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Causes of Carryover |
受託解析費用の値下げにより予定より安くすんだため、次年度の研究経費として遺伝子型決定等に利用する計画である。
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