2023 Fiscal Year Research-status Report
生物指標としての地表徘徊性甲虫類の多様な飛翔性・食性とその進化プロセスの解明
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22K05673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 園実 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (50598232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 健二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30208954)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 飛翔性 / 食性 / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
地表徘徊性甲虫類(コウチュウ目オサムシ科)は生息地の環境変化に鋭敏であることから、既に環境指標生物として国内外でモニタリングの対象とされているが、今後、温暖化の指標生物としての活用も期待される。温暖化による種組成の変化や、各種の生態やフェノロジーの変化を検出するためには、同じ場所で年間を通じて高頻度に調査すること、各甲虫種の生態の変化を詳細に追跡していくことが重要である。 そこで、現在は、ピットフォールトラップによる通年の定点調査と、見つけ取り法による調査を開始し継続している。また、これまで日本においては、主に森林環境を中心としたモニタタリングが主流であった(モニタリングサイト1000、環境省生物多様性センター)ため、本研究では森林環境に加え、草地的環境でも調査対象を加えた。その結果、種組成だけでなく、解剖による調査で飛翔性と食性が両者で大きく異なる群集構造であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで森林環境(樹木下)で出現する種群を対象としてきたが、調査する範囲を広げたことにより、採集個体数の増加に伴うソーティング作業、種数の増加に伴う同定作業、さらにそれらを解剖し飛翔筋の有無と成熟度、消化管内容物を調査するのに時間を要したことに起因する。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間を通じサンプリングした個体の解剖作業を継続する。その際、当初の予定に比べ、種数も個体数も多くなったため、これまでに判明した樹木環境下と草地環境下での優占種群を中心に解剖を実施し、生活環・飛翔性・食性を解明していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:調査対象である地表徘徊性甲虫類を解剖するために、捕獲後ソーティングと同定をした後に冷凍庫に保存する必要がある。この冷凍庫の置き場所の確保に時間を要し購入が遅れたために、次年度使用額が生じた。 使用計画:冷凍庫の置き場所を適宜検討し、今後増えていくサンプリングが収納できる場所を確保する。また、国際昆虫学会へ参加し、これまでの研究実績を発表し、温暖化の指標種としての地表徘徊性甲虫類の今後の調査と共同研究について、アリゾナ大学及び佐賀大学の研究者と情報を交換する。
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