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2022 Fiscal Year Research-status Report

昆虫脂肪体幹細胞の連続培養及びオルガノイド形成技術の開発

Research Project

Project/Area Number 22K05677
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

小林 淳  山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70242930)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords昆虫培養細胞 / スフェロイド / オルガノイド / 脂肪体 / 幹細胞
Outline of Annual Research Achievements

1. 脂肪体の特性を有する細胞集団の構成細胞の分離培養と特性解析
カイコ胚子の初代培養から得られた脂肪体の特性を有する増殖分化細胞集団BoMo-Siam BのRNA-seq解析により,脂肪体で特異的に発現する体液タンパク質(promoting protein,low molecular 30 kDa lipoprotein PBMHP-6 precursorなど)や生体防御タンパク質(attacin precursorなど)の遺伝子が,卵巣由来のBmN4細胞よりも顕著に多く発現していることが確認され,分離培養やスフェロイドあるいはオルガノイド形成に伴う遺伝子発現特性変化を評価するための比較対照基準が得られた。また,BoMo-Siam Bから小型の浮遊性細胞の分離培養に成功し,凝集体(スフェロイド)形成能力とBmNPV感受性を有することを明らかにした。さらに,細胞内に形成される顆粒は,蛍光色素LipiDyeIIを取り込んで明瞭な蛍光を発することから,脂肪を蓄積していることが示唆された。
2. 脂肪体オルガノイド形成技術の開発と特性解析
BoMo-Siam Bのスフェロイドを5 μmセルストレイナーを用いて除去し,ほぼシングルセル状態からのスフェロイド形成を試みたところ,徐々に細胞の集塊が形成されるものの,細胞の初期密度を増やしてもスフェロイド形成効率に顕著な改善は認められなかった.さらに,哺乳類のオルガノイド形成に用いられているPamCellおよびVitro Gelの2種類の3次元培養法を用いて,BoMo-Siam Bのシングルセル状態からのスフェロイド形成を試みたが,改善は認められなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新たに樹立されたカイコの細胞集団について,トランスクリプトーム解析により脂肪体細胞と類似した特性が確認され,さらに分離培養した浮遊性細胞において脂肪顆粒の存在が観察されるなど,基準となる遺伝子発現特性や構成細胞の個別の性状が明らかになるとともに,シングルセル状態からのスフェロイド形成は非常に効率が悪く,哺乳類細胞の3次元培養法でも改善できないなど,今後のオルガノイド形成技術開発に重要な新知見と解決すべき課題が明白となり,研究計画に沿って着実に遂行できたと判断される。

Strategy for Future Research Activity

1. 脂肪体の特性を有する細胞集団の構成細胞の分離培養と特性解析
増殖分化細胞集団BoMo-Siam Bを構成する大型の浮遊細胞や付着性細胞を分離培養し,すでに分離培養に成功した小型の浮遊性細胞とともに各構成細胞の詳細なトランスクリプトームを比較解析する。また,脱皮ホルモンや幼若ホルモンなどの昆虫ホルモン投与,生体防御反応誘導およびカイコ核多角体病ウイルスなどの昆虫ウイルス感染に伴う形態および遺伝子発現の継時変化を比較解析し、各構成細胞の基本的な特性を明らかにする。
2. 脂肪体オルガノイド形成技術の開発と特性解析
細胞集団BoMo-Siam Bおよび分離後の構成細胞におけるスフェロイド形成を時系列的に解析するとともに,スフェロイド形成効率を比較し,スフェロイド形成に最適な培養条件と細胞構成を明らかにする。また,構成細胞に蛍光蛋白質遺伝子を導入し,カイコの初代培養胚子組織と共培養し,オルガノイド形成の可能性を検証するとともに,スフェロイド形成との共通性およびオルガノイド形成に必要な要因を明らかにし,昆虫細胞のオルガノイド形成の基本技術開発を試みる。また,形成されたオルガノイドを長期間培養し,寿命(培養期間) および発育(スケールアップ)限界についての知見を得るとともに,脱皮ホルモンや幼若ホルモンなどの昆虫ホルモン投与あるいはカイコ核多角体病ウイルスなどの昆虫ウイルス感染に伴う形態および遺伝子発現の継時変化を明らかにし,脂肪体などの生体組織と比較することにより,in vitro実験系としての実用性を検証する。また,将来の有用物質生産や食資源などの新規利用技術開発への応用の可能性についても検討する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 新規カイコ胚組織由来培養細胞の遺伝子発現特性とスフェロイド形成2023

    • Author(s)
      森本颯斗・吉永侑生・小林淳・Ratree Wongpanya
    • Organizer
      令和5年度蚕糸・昆虫機能利用学術講演会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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