• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

土壌への根系到達による倒木更新木の栄養制限緩和と更新の成否

Research Project

Project/Area Number 22K05730
Research InstitutionTokyo University of Agriculture

Principal Investigator

岡田 慶一  東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (70882025)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords倒木更新 / 天然更新 / 菌根菌 / 栄養分解酵素活性
Outline of Annual Research Achievements

本研究では倒木更新稚樹の樹木成長と環境変化に対する生理応答の関係性をから、土壌への到達によって倒木更新が成功する仕組みを明らかにする。2022年度に調査した倒木更新状況を踏まえ、本課題の主要な研究内容となる、土壌到達前後における更新稚樹の成長応答、および土壌到達による栄養条件や根の共生微生物の栄養獲得能力の調査を2023年度に実施した。
北海道東部に位置する阿寒湖周辺の針広混交林において、根が土壌到達後数年経過したトドマツの倒木更新稚樹5本を対象に調査を行った。根が土壌到達した前後での成長変化を調査するために、主幹基部の年輪を採取し年輪幅を計測した。また、同一個体の細根クラスターと周辺基質を倒木上と土壌中からそれぞれ5つ採取し、根端部の外生菌根の有機物分解酵素活性と基質のCN比、pH、無機態窒素量を測定した。
測定した5個体の樹齢は15-31年で、土壌に根が到達してからの経過年数は2-8年であった。これらの個体について、ある年の前後5年間の年輪幅の差を検定したところ、根が土壌到達している年代になると、過去5年間よりもその後の5年間の方が有意に高い成長を示した。倒木上と土壌での栄養環境は、倒木上の方が土壌中よりも有意に酸性化し硝酸態窒素が低かった。また、セルロース分解酵素であるβグルコシダーゼ(BG)とロイシンアミドペプチダーゼ(LAP)が土壌中で高い傾向を示し、特に両者の酵素活性比は、窒素獲得に関わるLAPの方がBGよりも土壌中で活性が高まっていた。このことから、土壌到達による成長の加速は、土壌到達による栄養可用性の改善と、菌根菌による窒素獲得能力の強化によって引き起こされた可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度で、当初想定していた仮説を支持する主要な成果を得ることに成功した。主に、土壌到達前後での更新樹木の成長促進と、それに対応する土壌中での栄養獲得能力(特に窒素)の上昇という結果が得られ、土壌到達による栄養環境改善と共生微生物の栄養獲得能力の上昇が寄与して、生長が促進されていることが示唆された。

Strategy for Future Research Activity

課題の仮説を支持する結果が得られた。今後この結果の発表や公表のための準備・解析を字進めていく予定である。また、結果から類推・想定する倒木更新木の成長促進プロセスの解釈をより強固にするため、光環境など栄養以外の条件を管理した際の成長応答に関する実験し、プロセスの説明をより確実にするための知見取得を目指す。

Causes of Carryover

前年度から引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大時に一部の調査・分析を中止したため予算に余剰が生じた。一方今年度については概ね予定していた調査・分析を実行出来ている。最終年度は当初予定に応じた調査・分析および、成果発表に向けて予算執行する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2024

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 倒木更新木の土壌到達による樹木成長と菌根の酵素活性の変化2024

    • Author(s)
      岡田慶一, 安西楓, 高橋穂乃花, 時田勝広
    • Organizer
      日本生態学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi