2022 Fiscal Year Research-status Report
ケイ酸集積植物が生み出す土壌-プラント・オパールの土壌粒径分布への寄与-
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22K05737
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
梅村 光俊 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00737893)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 植物ケイ酸体 / 生体鉱物 / 土性 / 粒径分布 / 土壌生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ササ類が生成するプラント・オパール(PO)の土壌生成因子としての機能を解明するため、チシマザサ各器官に含まれるPOについて粒径分画・形態観察を行った結果、葉・稈・地下茎・細根からは、それぞれ粒径や厚みの異なる多様な形態のPOが同定された。特に細根由来のPOの多くは薄い形態の粒子であったため、比較的風化を受けやすく土壌粒子として長期的に残存しにくい可能性が示された。 具体的には、ササ地土壌に供給されるPOの粒子形態を把握するため、チシマザサ節のササの葉、稈、地下茎(枯死直前の成熟部位)、細根(生根)からPOを抽出し、土壌の粒径区分(砂、粗シルト、細シルト、粘土)に従って粒径分画し、顕微鏡観察を行った。その結果、それぞれの器官から、粒径や厚みの異なる多様な形態のPOを同定することができ、これらをチシマザサ由来のPOのリファレンス画像として整備した。 表層土壌への主なPO供給源の一つである細根から抽出されたPOの粒径分布は、割合の高かったものから順に、細シルト(62%)>粘土(32%)>粗シルト(5%)>砂(1%)であった。最も割合の高かった細シルト画分は、主に薄板状型や薄膜状の粒子で構成され、棍棒状や多面体型など厚みのある粒子は、割合の低かった粗シルト画分で観察された。薄い形態の粒子は厚みのあるものに比べて比較的風化を受けやすいと考えられるため、チシマザサの細根由来のPOは土壌中で比較的残存しにくい可能性が示された。 これらの成果は、土壌中で観察されるPOの給源植物の特定と、どの植物器官のPOが土壌生成に深く関与しているかを解明することに役立つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チシマザサ節の葉、稈、地下茎、細根に含まれるPOの粒子形態を観察・同定し、チシマザサ由来のPOのリファレンス画像を整備することができた。この成果は、ササ地土壌中から見出されるPOが、チシマザサ由来であるかどうかを判断するための重要な参照データとなる。このため、本課題で取り組む、土壌粒径分布におけるPO寄与率の定量化において、分析精度を支える基盤的情報を整備できたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ササが表層土壌に供給するPOの粒子形態の特徴について、稈、地下茎に含まれるPOの粒径分布と各粒径を構成する粒子形態を明らかにし、すでに分析済みの葉と細根のPO粒径分布の結果と合わせて成果をまとめる。また、これらのPO粒子の土壌中での溶解性・安定性を評価するための培養実験に向けて準備を進める。土壌粒径分布におけるPO寄与率の定量化に向けて、様々な土壌に適用可能な評価手法の構築を目指し、粒度分析における最適なPO精製手順を検討する。
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Causes of Carryover |
備品費として計上していたノート型電子計算機を所属機関の交付金により調達できたこと、また、実験補助員の雇用が年度途中からであったため、638,153円の次年度使用額が生じた。引き続き、植物試料の洗浄、粉砕作業および実験器具の洗浄などに実験補助員を必要とするため、繰越額を主に通年での雇用経費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)