2023 Fiscal Year Research-status Report
コナラ属における開芽・展葉制御とその種間・集団間変異の遺伝基盤の解明
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22K05756
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
小林 正樹 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 林業領域, 主任研究員 (50768067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 祐子 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (20443583)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | コナラ / 展葉 / 開芽 / 休眠 / ゲノム / 集団遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹木の開芽・展葉時期は、個体の生存と成長、種の分布、気候変動などとの関連から、重要な研究対象である。近年モデル樹木のポプラを中心に、春の開芽・展葉を制御する遺伝基盤の理解に大きな進展があった。一方で、樹木の中には春の展葉後に芽を形成し、夏に再び開芽・展葉(二次展葉)を行う種が多く存在するが、そのような二次展葉がどのようにして起こるのかについては不明な点が多い。そこで本研究では、春や夏といった季節の違いによらず休眠した芽が展葉する際に共通して働く制御機構が存在するのか、もしも存在するのであればどのような遺伝子がその制御に関与しているのかとの問いを立て、二次展葉を示すコナラを材料として研究に着手した。 申請者らは、全国(北海道、岩手、岡山、蒜山、福岡)から集めたコナラの種子を岡山大学圃場で栽培し、コナラの各集団ごとに展葉時期や展葉回数に違いが存在するかを観察により確認した。その結果、集団により展葉時期および展葉回数が異なることが明らかになった。これらの観察に用いたコナラ実生は、全て同一条件下で栽培されたものであることから、生じた観察された展葉時期や展葉回数の違いは、遺伝的な違いにより生じている可能性が考えられた。そこで、コナラ実生の展葉時期や展葉回数を制御する遺伝変異を明らかにするために、Pool-seq法により集団ごとのゲノム配列を取得し、集団間で大きく異なるゲノム領域の推定する解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、コナラ実生の展葉時期や展葉回数を制御するゲノム領域を特定する解析を開始することができており、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に開始したコナラ実生の展葉時期や展葉回数を制御するゲノム領域を特定する解析について、詳細な解析を行うとともに、より多くの集団について解析を行うことで信頼度の高いデータを取得する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、コナラ実生の展葉時期や展葉回数を制御するゲノム領域を特定する手法としてゲノム連関解析(GWAS)を利用することを検討していたが、予算減額により、より安価なPool-seq法への手法の変更が必要となった。そのため、大規模にPool-seq法を行う前に小規模なデータセットにより条件検討を行う必要が生じた。そこで本年度は、条件検討を詳細に行い、大規模実験につては来年度に実施することとしたことから、次年度使用が生じた。生じた予算は、次年度に大規模なPool-seq法での実験に利用する予定である。
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Research Products
(1 results)