2022 Fiscal Year Research-status Report
葦アレルギーの実態解明とアレルギー抑止のための化学処理技術の開発
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22K05760
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小幡谷 英一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10312810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖山 奈緒子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10581308)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 木管楽器 / リード / 葦 / アレルギー / アセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)アセチル化リードの試奏試験 SNSを通じて葦アレルギー症状のあるリード楽器奏者を募集し、協力の申し出があった10名の奏者について、アセチル化リードの試奏試験を行った。オーボエについてはあらかじめアセチル化した葦を加工してリードを作製し、配布した。クラリネットなどのシングルリードについては、被験者が普段使用しているリードを送付してもらい、アセチル化した上で返送した。アセチル化リードを1週間以上試奏した結果、ほぼ全員が無症状であった。わずかに症状が出た奏者についても、その症状は(通常の葦リードに比べて)はるかに軽く、演奏に支障の出ない程度であった。これにより、アセチル化が、葦アレルギーの抑止に極めて効果的であることが確かめられた。なお、一部のオーボエ奏者から「アセチル化リードは長持ちする」との報告があった。アセチル化の副次的な効果として今後検証する価値がある。
2)低温気相アセチル化の試行 オーボエおよびバスクラリネットのリードを用いて、各種のアセチル化を検討した。従来の高温液相法(120℃)では8時間で質量増加率(WPG)が20%程度に達した。同条件で処理した木材(WPGが25%)に比べてWPGが低かったのは、葦の活性水酸基数が少ないためと推察された。一方、処理温度を60℃まで下げた場合、WPGが20%に達するまでに2週間必要であった。酢酸カリウム触媒をあらかじめ含浸することで、処理時間が4日まで短縮された。今後、家庭用の保温庫等を使った簡易な処理方法を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な数の被験者を確保するのに時間がかかったが、最終的に10名の被験者に対してアセチル化リードの試奏試験を行うことができた。また、低温気相アセチル化の開発については、予定通り進行しており、3月には成果発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、2023年度は医学的な検討(アレルゲンの特定)を最優先とする。また、低温気相アセチル化については、家庭用の器具を使った方法を各種検討する。
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